スマートフォンの普及に伴い、利用者が急増しているニュースアプリ。
中でも「SmartNews」は米国版を発表するなど海外展開にも力を入れている。
「ハフィントンポスト日本版」の編集長として注目を集め、現在はスマートニュースのメディアコミュニケーションディレクターを務める松浦さんがインターネットと出会ったのは、学生時代だった。
「僕が理科大に入学したのは1995年、インターネットが一般に普及し始める直前の時期でした。神楽坂キャンパスに『計算機室』という部屋があって、UNIXの学内ネットワークがインターネットにつながっていたんです。授業とは関係なく、ホームページを立ち上げたり、他大学の学生とチャットを通じて語り合ったり……当時はまだ一般的でなかったDNS(Domain Name Systemドメイン名とIPアドレスの対応づけや、メールの宛先ホストを指示するためのシステム)の概念なども、この時に学びました。現在の仕事の原点は、間違いなくこの計算機室。その環境を与えてくれた理科大に感謝しています」

卒業後は、ネットワークインフラの技術者などIT関係のさまざまな職を経験し、2004年にライブドアに入社。その後は各種ウェブメディアのディレクターや編集長を務めてきた。現在のスマートニュース社は10社目となる。
「社会1年目に就職した会社の宇宙開発事業部がまるごと売りに出されて、職場がなくなったんです。そこで学んだのは『仕事って、ある日突然なくなってしまうものなんだ』ということ。世の中で生きていけるかどうかは、自分の実績しだいだと痛感しました」
その言葉どおり、日本版WIRED、グリー、ハフィントンポストと、移籍のたびに確かな実績を残してきた。そんな松浦さんは、今後のキャリアについて、どんなイメージを描いているのだろうか。
「変化の激しい世界ですから、10年後の自分を想像することは難しいですね。遠い未来の目標ということなら“みんなで幸せになること”かな。それに向かってさえいれば、何が起こっても、自分がどんな仕事をしていてもブレることはない……そう考えています」
最後に、後輩たちへのメッセージをお願いした。
「理科大の学生はロジカルな思考が得意だから、1つの方程式だけを携えて社会に出ていこうとする傾向があると思うんです。でも、世の中を泳いでいくための方程式は1つじゃない。学生時代にできるだけ多くの方程式を身に付けて、状況に応じて使いこなしてほしいですね」