研究部門・研究センター等の紹介

火災科学研究センター

センター長  工学部第二部 建築学科 教授 辻本 誠 
研究内容 火災から人命と財産を守るための安全技術およびそれを支える火災科学に関する研究 
目的 火災科学及び火災安全工学の発展および若手研究者や専門技術者の育成を推進する 
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東京理科大学における火災科学研究

本学では、火災から人命と財産を守るための安全技術およびそれを支える火災科学に関する研究を推進する研究拠点として、1981年に「総合研究所火災科学研究部門」が設立されました。これは、約40年前に「建築防災学の講座」が建築学科の創設当初に設置されたことに端を発します。こうして、本学では、かなり早い時期に、他の大学に例を見ない火災科学に関する研究と教育の基盤が整備され、この基盤から多くの実績が蓄積されてきました。この成果は、世界で最も権威ある国際火災安全科学学会から名誉ある2つの賞を受賞したことで立証されたといえます。一つは「火災安全技術の発展に寄与した、いわば研究上の功績」に対する賞で、もう一つは「火災研究者を多数輩出した、いわば教育上の功績」に対する賞であります。また、わが国では、これまでに多くのビル火災が発生し、多数の犠牲者を出してきましたが、こうしたビル火災の鑑定は、大半が本学の火災科学研究部門のメンバーによって行われました。
こうした実績が評価され、「先導的火災安全工学の東アジア教育研究拠点」が、平成20年度グローバルCOEプログラムに採択されました。これは平成15~19年度の21世紀COEプログラム「先導的建築火災安全工学の推進拠点」の成果や大学の支援体制が高く評価され、国際的に抜群の拠点づくりが可能であると認められたことによります。平成24年度には、アジア諸国の火災安全に係る関係者により"FORUM for Advanced Fire Education/Research in Asia”を設立し、火災科学・火災安全工学に関する世界最高水準の教育研究拠点を確立し、「火災安全工学の発展」および「若手研究者や専門技術者の育成」のための活動を展開しています。
平成25年度からは、私立大学戦略的研究基盤形成支援事業の支援を受け、アジアの火災安全情報のネットワーク構築を行うことに重点を置き、アジア諸都市の火災リスク抑制を連携して実現する研究拠点として、21世紀の課題である科学のグローバル展開を実現していきたいと考えております。

専門知の共有に基づくアジアの火災安全情報拠点― 情報化社会における新しい火災安全のあり方 ―

本学における研究成果がアジア圏における火災リスクの低減に寄与し、都市で生活する人々の安全を守ることに繋げる事を目的とし、以下2つのテーマを実施しています。

テーマ1 火災情報ネットワークの構築と運用による火災リスク分析

本プログラムの第一のテーマでは現在公開しているホームページ「Forum on Fire Safety in Asia(アジア火災安全情報拠点)」を運用し、アジア圏における火災事故情報を収集します。現在は日本を除くアジア15カ国の火災事故情報をインターネットニュースから収集し、アジア火災ネットニュースとして掲載しています。

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ホームページ「Forum on Fire Safety in Asia(アジア火災安全情報拠点)」

テーマ2 火災危険事象の分析

近年のアジアの諸都市における火災事例では、可燃性材料を用いた外壁の延焼性状に関する問題点や、空間利用と材料利用との関係に基づく燃焼拡大過程、そして毒性ガスの生成の問題点が指摘されます。こうした課題を火災科学研究センター実験棟や各種実験設備を活用し分析します。
このように「火災情報ネットワークの構築と運用による火災リスク分析」を通じて、火災事故情報を収集して火災リスクに関する問題点を把握すると共に、「火災危険事象の分析」における実験や分析に基づいて問題点の科学的解明や安全対策のあり方を議論します。そして、これらの情報が融合することにより、原因究明や現象の解説、被害拡大要因に関する専門家のコメントが蓄積・整理されるため、類似の火災被害が発生した場合には利用者にとって即座に必要な情報を入手できる情報源として「アジア火災安全情報拠点」のホームページが広く利用され、アジアの諸都市における火災安全の向上に資するものと考えています。

火災科学研究センター実験棟

21世紀COEプログラムの採択を契機とし、大学に付属する火災科学研究専用施設の中で世界トップレベルの規模と機能をもつ実験棟として2005年3月に竣工しました。野田キャンパス内に位置し、建築面積約1500㎡、延べ面積約1900㎡、高さ約20mの規模を誇ります。火災科学分野において世界を先導する卓抜な研究の推進が可能な機能を備えるよう、当センターのメンバーがこれまでの経験基盤をもとに、基本計画設計を実施しました。
2006年3月には、大型耐火炉(壁炉)が建設されましたが、今後さらに、複合炉などの大型実験装置や国際的にも必要とされる外壁の防・耐火性能検証装置や燃焼性能試験装置などを整備して先導的な研究の発展に役立てる所存です。

火災科学研究の目的と重要性

火災科学研究センターでは、グローバルCOEプログラムにおける教育研究拠点の形成を推進してきました。(図1)

kasaikagaku_2015-2016

当拠点は、21世紀COEプログラム「先導的建築火災安全工学研究の推進拠点」の成果である“理論”としての性能的火災安全設計技術と“実践”としての大型実験施設の活用による実験的研究を両輪に、さらに発展・深化させ、都市化に伴う新空間(超高層、地下)および工業化・省エネルギー化に伴う新材料(主にアルミ、プラスチック)の利用に伴って増大する潜在的火災リスク(図2)の抑制を目的としています。特に、急激な近代化のために変容する空間・材料利用により、最も高いリスクを受ける東アジアの諸都市の研究者と教育研究の両面で協力することで我が国に限定せず、火災危険増大抑制のための研究並びにこれを実現する教育方法の確立を目指しています。

これが実現されれば、高層空間、地下空間での危機的な事故発生が抑制され、仮に火災事故が発生した場合にも理論的分析や大型実験施設を利用した再現実験等を通じて、迅速で有効な施策を選択でき、同時にネットワークを通じて他国、他都市での同様の危険発生が抑止されます。また、現状では明確でない防火技術者(研究成果を応用して実際に安全な空間を実現する)の職能が、消防官等への教育を通じて具体的に確立されることも期待されます。

国際火災科学研究科の開設と火災科学研究センターの使命

本学では、先人達が残してくれた火災科学分野の優れた伝統と実績を継承しつつ、21世紀COEプログラムからグローバルCOEプログラムを通して大幅に発展させ、その成果として、アジア初の火災科学に特化した大学院「国際火災科学研究科」修士課程を2010年4月に、博士後期課程を2012年4月に開設しました。これにより、名実ともに世界最高水準の教育研究拠点を確立し、維持していくことで、火災科学分野に求められている様々な社会的需要に応え、社会的貢献を果たしていきたいと考えております。

今後の展開

世界最高水準の教育研究拠点を確立し、火災安全に関する様々な社会的需要に応え、社会的貢献を果たす。

センター長からのコメント

安全・安心は社会発展の要です。東アジアでは急激な都市化が進行し、石油化学素材等の燃焼を伴う近代都市施設の火災・爆発による重大な死亡・損害が多発し、巨大化する危険に直面しています。私たちは、この喫緊の事態に十二分に対処していく義務と、火災事故の変質を予測し、防止するための革新的教育研究システムづくりに一層努めていく所存です。

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