研究部門・研究センター等の紹介

大気科学研究部門

部門長  理学部第一部 物理学科 教授 三浦 和彦 
研究内容 都市・海洋・山岳大気における観測により、大気汚染、気候変動について研究します。 
目的 南関東のPM2.5の環境基準達成率はいまだ低い。また、自由対流圏と都市大気では雲生成プロセスが異なる。これらの原因を解明するために、都市・山岳・海洋・越境大気を対象に、それらの相互作用も含め研究します。 
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【研究ハイライト2016】

大気科学研究部門では、都市大気、山岳大気、海洋大気、越境大気を対象に、それらの相互作用も含め、大気汚染と気候変動と大気電気について研究する(図1)。

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図1 研究分野の相互関係

1. 関東地方のPM2.5の高濃度原因

南関東ではディーゼル車排ガス規制などの対策によりだいぶ減少したが、いまだPM2.5の環境基準達成率が低い。この原因として越境汚染の可能性も考えられるがPM2.5は中国だけで発生するものではなく、どこでも発生するものである。粒子は輸送中に降水があれば大気中から除去されるので、大陸からの長距離輸送は上空で行われると思われる。そこで、我々は認定NPO法人富士山測候所を活用する会(http://npo.fuji3776.net/)の協力を得て、富士山頂の旧測候所で観測を行い、どのような条件にPM2.5が高濃度になるかについて研究を行う。また、吸湿性のエアロゾル粒子は湿度により成長しPM2.5の高濃度の原因となりうる。そこで、東京湾または船舶を利用した観測により、海洋大気エアロゾル粒子の影響を調査する。

2. エアロゾル粒子の気候影響

大気エアロゾル粒子は、太陽光を直接散乱・吸収することで直接的に、雲の核となり雲の放射特性を変えることで間接的に、地球を冷却する効果があるが、いまだ科学的理解の水準は低い。基礎生産性の高い海域から放出される生物起源気体は、海洋エアロゾル粒子の重要な起源である。粒子数が増加することにより、雲は大気の負の放射強制力を増すが、大気境界層には海塩粒子が存在するので新粒子生成は起こりにくく、自由対流圏で生成されると思われる。自由対流圏に位置する山岳大気エアロゾルを測定することにより、新粒子生成・雲生成プロセスについて解明する。また、富士山においては、二酸化炭素のモニタリング、煤粒子の測定を行い、地球温暖化についても調査し、エアロゾル粒子の冷却効果と比較する。さらに、東京スカイツリー、船舶での観測により、都市大気、海洋大気エアロゾル粒子の特性についても調査する。(図2)

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図2 新粒子生成・雲生成プロセスの解明

本部門は、現在、表1に示す20名の部員と3名のアドバイザリ―委員で構成されています。メンバーが主に活動する観測場所を図3に示しました。

表1 大気科学研究部門のメンバー(2016年7月1日現在)

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図3 観測ネットワーク(赤字:山岳地域、青字:平野部)

参考文献

1) 土器屋由紀子・佐々木一哉編:よみがえる富士山測候所2005-2011、成山堂、pp180, 2012

2) 東京理科大学出版センター編著:太陽エネルギーがひらく未来、東京書籍、pp193、2012

3) 藤田慎一・三浦和彦・大河内博・速水洋・松田和秀・櫻井達也:越境大気汚染の物理と化学、成山堂、pp247, 2014

4) 三浦和彦編著:特集「山岳域における大気観測」、理大 科学フォーラム2016年8月号、東京理科大学、2-23、2016

今後の展開

学内外の研究者の輪を広め、部門終了後は、継続性を持つ全国レベルの新たな学術コミュニティを形成したいと考えています。

部門長からのメッセージ

大気科学は大気組成や大気現象やその仕組みを研究する学問です。当部門では主に、大気中に浮遊する液体もしくは固体の微粒子であるエアロゾル粒子による大気汚染、気候影響について研究します。広い分野の専門家が集まり2016年4月に設立しました。

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