研究部門・研究センター等の紹介

分子連関相乗系研究部門

部門長  理学部第一部 化学科 教授 田所 誠 
研究内容 有機・無機・バイオの錯体分子システムの創製と分子間の構造・物性・機能評価を行う。 
目的 分子関連相乗系研究部門では、合成した錯体分子(有機・無機複合分子素子)を互いに連関させ、単一分子では発現しにくい複雑な機能性を創造し、今までにないシナジー効果を発現させるものである。 
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【研究成果ハイライト2016】

研究目的

無機・有機複合分子などをターゲットとする研究者は、分子設計を行って新規の機能性を有する目的分子を合成する研究を行っている。例えば「人工タンパク質」「分子機械」「分子超伝導体」「マルチフェロイクス分子結晶」「光分子触媒」「グラッツェル太陽電池」「有機薄膜FET」など、次々と天然には存在しない有用な新しい分子システムを構築している。さらに、このような分子設計・分子合成による機能性分子の開発が急ピッチで行われているのに加えて、最近では機能性分子同士を結びつけた「分子連関係」を発動する動きが現れている。機能性分子同士を結びつけた分子連関相乗システムは、既存の機能をたし合わせただけではなく、相乗的なシナジー効果が現れるのが特徴である。分子連関相乗系研究部門では、メンバー同士が合成した分子を互いにいくつか連関させ、単一分子では発現しにくい複雑な機能性を創造し、今までにないシナジー効果を発現させようとするものである。このような分子システムを構築する場合、現在の科学レベルではほとんどの分子が合成可能であるが、その分子間相互作用を利用するために分子の配列制御が非常に重要な課題となる。そのため、結晶構造制御、表面配列の制御、分子配列の制御、分子構造の制御を含む研究者が一堂に集まっていることが特徴である。
例えば、機能性分子の連関相乗係を用いた究極の集合体は光合成システムであり、多数の生体分子から作られた薄膜上で個々の分子が、全体の相互作用の一つとして機能すると考えられている。(図1)光合成は太陽光エネルギーの70%をATPなど高エネルギー分子系へ化学エネルギーとして変換することが可能である。このような連関係ではいくつもの役割を担う分子が膜上で相互作用し、目的とする機能を達成しているのである。

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3つの分子連関系

本研究部門では、まず個々の機能性分子を開発することを目的とする。さらに、互いに分子同士を超分子や結晶学的に連関させ、(STMの顕微鏡下でも)新規の機能をもつ分子系へと発展させ、そのシナジー効果を発現させる。そのために、3つの研究系に分類した。この3つの分子連関係は、互いに分子を構築し、高度に制御された系で分子間相互作用を発現させることを目指している。

1.分子連関物性係

光・磁性や伝導性など固体物性を中心とした活動を行っていく。合成は分子・イオンを自由度とする電子系の制御を行う研究系である。特に「プロトン‐電子連関分子系」の合成・構築には力を入れて行っていく。

2.分子連関構造系

メカノ超分子として「インターロック化合物」、新規構造をもつ金属クラスター、あるいは界面構造や結晶のキラリティーを研究していく。超分子的な運動をもつ分子メカノや、構造や数を制御した金クラスター触媒や物性、界面や結晶中でのキラリティーを創出する研究系である。

3.分子連関バイオ系

光合成などの生体のエネルギー変換をモデルとした分子設計を行う。この系の目標は、光から化学エネルギーへ、あるいは化学エネルギーから力学的エネルギーなど、ポルフィリン錯体や電子移動錯体、発行錯体などバイオ系を念頭に置いた分子のエネルギー変換を目指す。

光合成関連分子連関システム    メカノ超分子・キラル界面連関システム

分子連関相乗系設立経緯

ここ数年で東京理科大学の理学部を中心に“錯体化学”(Coordination Chemistry)を専攻する教員が多数在籍するようになった。そのため、東京理科大学内の全学に渡ってそれらの研究者の力(分子設計・合成・測定)を結集することを目指し、平成22年に”東京理科大学錯体超分子化学研究会”を発足した。(2011年1月18日)すなわち、離れている神楽坂と野田キャンパスに属する教員及び学生との交流共同研究の場を作ろうとする試みを始めた。常識にとらわれずに屈託のない論議や研究を行い、本分野への貢献と国内外へ大きなインパクトを与えることを目的とする。活動資金の申請を平成23年度学長重点経費「共同研究助成」で行い、研究会メンバーで「錯体・超分子を用いる光合成関連化学」を獲得し、蛍光寿命測定装置を購入した。現在もメンバー間で共同研究を行っている。第2回目の会合は、共同研究費に関連して平成22年7月9日に薬学部14号館で行い、「錯体・超分子を用いる光合成関連化学」で本学理学部第二部の佐竹彰治先生の基調講演を行った後、研究会メンバーの発表会を行った。3回目の会合は、界面科学研究センターとの共催で平成23年11月18日にシンポジウム「界面科学と錯体化学~生体関連機能へのアプローチ」を開催し、座長や発表、趣旨説明など主要な役割を担った。さらに、平成24年8月23日には、部門設立に賛同し研究者を集めて部門申請のための「分子連関相乗系研究部門設置基準ミーティング」を行った。

今後の展開

分子配列を制御し、分子間相互作用を積極的に活用しようとする科学領域は、これから必要である。特に分子間制御された生体機能や、プロトン-電子移動系、メカニカルなエネルギーへの変換などが今後の展開としてあげられる。

部門長からのコメント

分子連関系を目指す研究者は、ほとんどが分子を主体として研究しています。これまでの科学の発展で分子設計・分子合成はできますが、その分子を自在に配列させたり、分子間相互作用を利用することは難しいといわれてきました。しかし、生体分子はこれを実現している唯一の「分子素子」であり、この分子間相互作用を模倣した研究を続けていきたいと考えています。

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