研究部門・研究センター等の紹介

界面科学研究部門

部門長  工学部 工業化学科 教授 河合 武司 
研究内容 物体表面や界面活性の全般的な研究  
目的 国内的にも国際的にも、界面・コロイド科学における先導的役割を果たす 
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【研究成果ハイライト2016】

物体は表面を持ちます。互いに接する2つの物体の間にも境界面(界面)が存在します(空気と接する物体の場合、物体と空気の界面を単に物体の表面といいます)。界面科学は表面や界面を研究する学問です。

半径1cmの球状の粗大粒子を考えましょう。この粒子をバラバラにして半径1μmの微粒子の集団をつくります。いくつの微粒子ができるかは、微粒子集団全体の総体積がもとの粗大粒子の体積(4.2cm3)と変わらないということから簡単に計算でき、1012個できることがわかります(図参照)。ところが、表面積の方は、粗大粒子のときは12cm2で3cm×4cmの手のひらサイズですが、バラバラになると総表面積が12m2すなわち3m×4mまで1万倍に増大します。このように、微粒子の集団は信じられないくらい大きな総表面積をもっています。これだけ総表面積が大きいと、微粒子(コロイド粒子やナノ粒子)の集団の性質や挙動は、その表面積の性質で決まってしまうことになります。

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界面科学の守備範囲は広く、界面活性剤、微粒子(コロイド粒子・ナノ粒子)の分散系、マイクロカプセル、ゲル、固体表面、粉体、生体界面、環境コロイドなど、あらゆる分野に関係しています。

界面科学研究部門は、1981年1月に発足しました。初代部門長である目黒謙次郎教授(理学部)の後、近藤保教授(薬学部)、上野實教授(理学部)、今野紀二郎教授(工学部)、大島広行教授(薬学部)を経て、2012年から河合武司教授(工学部)が引き継いでいます。この間、2008~2012年度は文科省戦略的研究拠点形成支援事業に「ナノ・バイオ界面技術の創成とその応用」のテーマで申請したプロジェクトが採択され、界面科学研究センターとして活動しました。界面科学研究センターでは、バイオ界面、バイオマテリアル、ナノマテリアル、ナノスペース、界面理論・解析の各グループが界面を機能発現の場として捉え、新規な物性・機能・理論の創出を目指し、多くの界面科学の専門家の他に無機材料・物理化学・表面科学・超分子科学・理論化学を専攻したヘテロ分野の有能なスペシャリストの集団によって研究を推進しました。

新たなメンバーでスタートした本部門では、研究対象を大きくソフト界面とハード界面の2つに分けて、動的な界面現象についての理解を深めます。ここでいうソフト界面とハード界面とは、界面を構成している組成で区別する一般的な定義とは異なり、”ソフト界面”とは界面を形成している分子(原子)が通常の観測時間内に常に入れ替わる動的な界面で、例えば界面活性剤によるミセルが相当します。一方”ハード界面”は表面構成分子(原子)の入れ替わりがなく(厳密な意味では正しくないが)リジッドな界面で、例えば金属ナノ粒子は当然これに該当しますが、有機分子錯体が形成するナノポーラス材料もこの範疇に入ります。動的な界面と静的な界面と言い換えることもできますが、両者の研究を次元毎に進め、動的な界面現象の理解を深め、機能性材料開発に活かしたいと考えています。

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さらに、ある固体物質と溶液の固-液界面の境界にある水は構造水と呼ばれ、その詳細な性質やクラスターに由来する構造についてはほとんど知られていません。構造水は接した固体表面の親水性や疎水性、あるいは極性や非極性などによって、その性質や構造を劇的に変化させると考えられています。例えば、疎水性の物質界面に接した水分子は、分光学的あるいは熱力学的に界面で強い水素結合構造体(ice berg)を作ることが予想されていますが、分子レベルでどのようなクラスター構造をもつのか実験的に解明されていません。これは構造水が界面から数十 〜 数nm 以下(数十個程度の水分子層)の限られた薄水層から構成されているため、より大きくて複雑な物質界面に邪魔され、分光的手法によっても詳細なクラスター構造を解明することが難しいためです。また、生体適合性のメカニズムについて水の構造が関与していることが報告されていますが、その詳細は未解決です。このように、界面近傍に存在する水の重要性は認識されていますが、その挙動などについては明らかになっていないことが多いのです。そこで本部門では、水に注目した研究を進めている研究者、水を重要な媒体として研究を進めている研究者から組織されていることから、水に焦点を絞った共同研究等を推進し、界面に存在する水の役割・構造などを解明します。

今後の展開

「動的・静的挙動」と「対象の次元性」を意識しながら、異分野間の情報交換および連携によって界面現象に関する基礎から応用までの研究を実施する

部門長からのコメント

物体は表面をもち、物体と物体の間には界面があまります。界面科学は、これら”境界の空間”で起こる現象を総括的に体系化する学問の一つで、取扱う研究対象が多岐にわたる学際的な研究領域です。また物質科学でありながら物質のない側面でものを見る科学でもあります。我々の成果が他の分野の発展にも貢献できることを期待しています。

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