資料館スタッフブログ

数学と宇宙

 こんにちは。学生スタッフの A.S.です。先日、神楽坂キャンパスにある近代科学資料館に 初めて行ってきました。10/12~12/23 の間、神楽坂キャンパスにある近代科学資料館で「寺 尾壽没後百年記念企画展『東京天文台初代台長 寺尾壽』~星を見つめ、人を育てた、近代 天文学の先駆者~」が行われています。それに伴い、理大祭一日目である 11/24 には理学 部第二部数学科の佐古彰史教授によるトークイベントが行われ、私も参加してきました。約 25 名が参加されていて、講演後の質疑応答も非常に有意義な時間になりました。

佐古教授の講演は 1 時間行われ、前半は数学と宇宙の関係性について、後半は寺尾壽が 日本で初めて講義した楕円関数、θ関数についての話でした。前半ではギリシャ時代まで遡 って、宇宙へのアプローチの歴史が紹介されました。その中で、コペルニクスの地動説は円 運動として唱えられていたが、その後ケプラーによって楕円運動であることが分かったと いうことも話していました。他にも一般相対性理論や量子力学の話もあり、これらを融合さ せる際に注目されているのが非可換幾何学という新しい数学だというのです。それまで物 理中心の話でしたので、急に数学の二文字が出てきて、理系の横断的な繋がりを実感しまし た。後半では楕円関数の導出が大半でした。私は数理科学科ですので大変興味深かったので すが、参加者の多くは眠そうでした。高校数学の範囲でまとめると、楕円方程式を微分・積 分したり、複素平面に拡張したり、試行錯誤すると新しい関数が出てくるという話でした。

さて質疑応答の中で「なぜ円から楕円という発想に至ったのか」という鋭い質問がありま した。地動説における円運動から楕円運動の変化に関する質問です。これについて佐古教授 と質問者で少し話した後、佐古教授は「むしろ楕円のほうが普遍的で、円は楕円の特殊な形 に過ぎない」とコメントしました。私も高校時代に楕円の方程式を見て、このことに気づき ましたが、質問者さんの意図もわからなくはないのです。日常でよく目にする形は大半が円 で、楕円はむしろ見えないところに活用されたりしているからです。

また今回、神楽坂キャンパスにある近代科学資料館の数学体験館も見学しました。野田キ ャンパス以上に様々な展示があり、楽しめました。野田キャンパスにあるなるほど科学体験 館にも特有の良さがありますので、是非どちらにもお越しください!

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佐古教授によるトークイベントの様子