資料館スタッフブログ

教育の今と昔

こんにちは!資料館スタッフのO.Y.です。

私は現在新しい展示に向けて「算術教科書」の内容をまとめています。基本的には教育に用いられる教科書といった扱いで構わないのですが明治時代のものをまとめているので現代の教科書とは内容の進め方、想定される指導側と生徒側の層や指導方法が異なっていると感じることが多いです。そこで、文科省の学習指導要領を参考に現代の教育と比較しながらまとめている中での気付きを共有したいと思います。

全体的に対象の能力を過大評価している様に感じられました。1編ごとの進みが早く、他の初歩的な内容を挟むことなく完結していたからです。

特に印象に残った内容は第1編の足し算引き算です。現在の学習指導要領では1年生はその南端な内容と意味を理解し、2年生が簡単な分数や掛け算を学びながら数学的能力を養いやっと3年生で大きな桁数の足し算や引き算を学んでいます。しかし算術教科書ではそういった数学的能力を養う過程を経ずに大きな桁数での足し算や引き算を教えます。内容としては1編のみで足し算引き算が完結しているのですっきりしていると取れますがついていけなかった生徒側も少なくはないと思います。他にも難しい言葉をあまり定義せずに使っていたりする点が見受けられ、優しい指導とは真逆だなと思いました。元々育ちの良い子どもたちだけが学習を受けていたのか、現在より育った段階でやっと学習を始めたのかは分かりませんが現在の学習指導要領は学びやすく、誰も置いていかないように配慮され工夫が重ねられていると思いました。

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算術教科書