Interview

本学で活躍する女性教員の紹介

Interview14
研究は未知へのチャレンジの連続
誰も知らないことを発見した時の喜びは
ひとしおです

池辺 淑子 准教授
東京理科大学 工学部情報工学科
1990年東京工業大学理学部情報科学科卒業。1994年東京工業大学総合理工学研究科システム科学専攻博士課程修了。1995年~1997年、東京理科大学工学部第一部経営工学科助手、1997年~2009年、同講師。2009年に同准教授に昇格。2016年に学部名変更および新学科設立となり現職。

先生のご専門を教えてください。

専門の研究分野は「組合せ最適化」です。「最適化」とは、何かをするときに最も良い方法を選ぶことをいいます。たとえば、A地点からB地点に電車で移動するときに、どういうルートで行けば最も安い料金で最も早く着くかを計算によって導き出すようなアルゴリズムの開発を行っています。

今取り組んでいる問題の1つに、本拠地を持つスポーツチームが総当たり戦で戦う場合、どのチームとどのチームがいつどこで戦うと、最も移動距離が小さくなるかを決めるスケジューリング問題があります。とても難しくて、10年以上ずっと考え続けています。最適化問題には、このように何年かかっても解けないような難しい問題が多いんです。

 

どのような経緯でこの分野に興味を持つようになったのでしょうか。

もともと理数系が得意でしたが、言語学も好きで、高校のときに文系か理系か迷いましたね。やはり理数系だなと決めてからは物理系か数学系かで迷いました。そのうち物理のセンスはないと気づき、数学科が選択肢に残ったのですが、情報科学科にも興味がありました。結論を先延ばしにするために、1年目は学部を決めず幅広く教養科目を学べる東京工業大学に進学しました。最終的に進んだのが情報科学科でした。

 

研究者の道に進んだきっかけは?

父が研究者でしたから、子どもの頃から研究者が身近な存在で、会社員の生活は全く想像できませんでした。父がとても楽しそうに研究をしていた姿をずっと見てきたので、私が研究者の道を志したのはとても自然な流れでした。

 

博士課程を修了して東京理科大学の助手となり、その後ずっと理科大にいらっしゃるのですね。

今は、研究者のポストが限られていて苦労される方が多いと聞きますが、私は運が良かったのだと思います。博士課程を修了するとすぐに、東工大でお世話になっていた先生のご縁で、東京理科大学工学部経営工学科の助手のポストを紹介していただきました。その任期が終わらないうちに講師のポストに空きができて、急遽私が後を引き継ぐことに。今は准教授として学部生6人、院生6人とともに研究をしつつ、数学の授業も持っています。

 

研究をされていてやりがいを感じるのはどんな時ですか?

手ごわくてなかなか解けなかった問題が、ある時すっと解けた瞬間ですね。問題が解けて嬉しそうな顔をしている学生を見る時もすごく嬉しいです。

試行錯誤して考えている時間も楽しいですし、1つの解法がいろいろな所に役立つことがわかった時はやっていてよかったなと思います。

 

プライベートはどのように過ごされていますか?

朝は一番頭が働くので、毎朝5時に起きて活動を始めます。最近はジムにハマっていて、週に4回はジムに行ってから仕事をしています。汗をかくとすっきりしますね。

夫も研究者で、最適化問題が専門です。家で仕事の話をすると、けんかになってしまうのでしないようにしています(笑)。

 

今後の目標を教えてください。

研究そのものが好きなので、ずっとこのまま研究を続けたいです。

研究って未知の問題へのチャレンジの連続です。プロセス自体が刺激的ですし、問題が解けて誰も知らないことを発見した時の喜びはひとしおです。

目標にしているのは、最適化問題の分野で著名なある先生です。ワインにも造詣が深い方で、研究一辺倒でなく趣味も極めているところを尊敬しています。私もそういう研究者になりたいなと思っていますが、まだまだですね(笑)。

 

理科大は研究者にとってどんな環境でしょうか。

研究費も恵まれていますし、必要な資料やソフトウエアのサポートも手厚い。若い研究者が働きやすい環境だと思います。理科大の学生はまじめで地道にがんばる人が多いので、その点でも大変働きやすい大学だと思います。学生のみなさんにはまじめに努力できるという強みを活かして社会で活躍してほしいですね。

 

今後研究者を目指す女性たちへの助言があればお願いします。

どんな分野でも同じですが研究者には、とにかくやってみて、うまくいかなければ次をやってみて、という行動力と粘り強さが必要。簡単な道ではありませんが、自分のやっていることに喜びを覚えて、続けていく覚悟を持っている人にはがんばってほしいですね。

私は基本的に、人間には男女差はないと思っています。人口の半分は女性ですから、研究者の世界でも半分は女性がいてもいいのではないでしょうか。最適化問題は今後ますますニーズが高まる分野ですから、興味がある人はどんどん参入してほしいですね。

 

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