2019.10.29 Tuesday

本学大学院生と教員らの免疫細胞に関する研究成果が国際誌『International Immunology』に掲載

本学大学院生と教員らの免疫細胞に関する研究成果が国際誌『International Immunology』に掲載されました。

基礎工学部の西山研究室では、アレルギー反応を引き起こす白血球である「マスト細胞」の機能や遺伝子発現について研究しています。

今回、長田 和樹さん(大学院修士課程2年生)を中心に、核内受容体分子PPARγがマスト細胞の活性化を抑制することを明らかにしました。PPARγは、様々な細胞に発現しており、特に、脂肪細胞の分化やインスリン感受性に関わるため、糖尿病の治療標的としてよく知られています。

一方、マスト細胞の機能にPPARγがどのように関わるのかはほとんど知られていませんでした。長田さんは、マスト細胞が活性化した際にPPARγ遺伝子が転写活性化することに着目し、マスト細胞が起こすアレルギー反応にPPARγがどのように寄与するのかを解析するため、siRNA技術を用いてPPARγをノックダウンしました。その結果、IgE抗体と抗原に反応したマスト細胞が起こす脱顆粒反応やサイトカイン分泌が、PPARγノックダウンによって顕著に増強され、アレルギー反応が悪化することが判明しました。また、糖尿病治療薬であるPPARγのアゴニストを投与したマウスでは、IgEと抗原によるアナフィラキシー反応が緩和されることも明らかとなりました。これらのことから、PPARγはマスト細胞によるアレルギー反応を抑制する分子であることが、細胞レベル、個体レベルで示されました。

マスト細胞は、シクロオキシゲナーゼ(COX)酵素の働きで生理活性物質を合成し、その中にはPPARγを活性化するものも含まれていますが、本研究では、COXを阻害する抗炎症薬アセチルサリチル酸(アスピリン)が、PPARγノックダウンに関わらずマスト細胞活性化を増強したことから、PPARγとCOXは独立した経路でアレルギー抑制に関わっていると考えられます。

今後、本研究の発展により、アレルギーについての理解が深まり、アレルギーの予防や緩和に繋がることが期待されます。

https://academic.oup.com/intimm/advance-article/doi/10.1093/intimm/dxz069/5601261?guestAccessKey=40a5468b-13d8-495d-938d-d66b27a8e073
Suppressive role of PPARγ in the IgE-dependent activation of mast cells.
基礎工学研究科 生物工学専攻 修士課程2年 長田 和樹
基礎工学部 西山研究室 客員研究員 笠倉 和巳
基礎工学部 西山研究室 博士研究員 三浦 亮介
基礎工学部 生物工学科 助教 八代 拓也
基礎工学部 生物工学科 教授 西山 千春

『International Immunology』
Oxford University Pressが発行する医学国際雑誌。アレルギー学と免疫学の研究に取り組んでいます。

西山研究室
大学公式ページ:https://www.tus.ac.jp/fac_grad/p/index.php?6821
研究室のページ:https://www.rs.tus.ac.jp/chinishi/

八代助教のページ
大学公式ページ:https://www.tus.ac.jp/fac_grad/p/index.php?6b1c

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