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本学教員が日本天文学会において欧文研究報告論文賞を受賞
本学教員が日本天文学会において欧文研究報告論文賞を受賞しました。
受賞者 | : | 理学部第二部 物理学科 教授 辻川 信二 |
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受賞題目 | : | 高赤方偏移での宇宙の大規模構造の成長率の測定からの重力理論への制限 |
受賞内容 | : | 本論文は、すばる望遠鏡の赤外線多天体分光装置(FMOS)を用いて、赤方偏移z = 1.4付近の銀河の分光サーベイ(FastSoundプロジェクト)を行い、赤方偏移が1を超える初期宇宙において初めて赤方偏移歪みと呼ばれる効果(後述)を測定し、それにより、宇宙論的なスケールで重力が一般相対論で正しく記述できるかどうかを検証したものである。 z ≦ 0.8の宇宙においてスローン・デジタル・スカイ・サーベイなどの大規模銀河分光サーベイに基づく研究が多くなされ、宇宙定数を仮定した一般相対論に基づく標準宇宙論の予想と無矛盾であったとの報告がなされている。しかし、z ≦ 0.8の宇宙における赤方偏移歪みの値は各種重力理論を区別できるほどの大きな差が出ないため、さらに遠方z > 1での測定が待たれていた。 本研究は赤方偏移 1 < z < 2 における最初の重力理論のテストである。すばる望遠鏡戦略枠プログラムとして、1.19 < z < 1.55 における2783個の輝線銀河の赤方偏移を測定し、z > 1の宇宙において初めて赤方偏移歪み効果を、4σを越える有意性をもって検出した。赤方偏移歪みの成長に関するこの研究は、宇宙定数を仮定した一般相対性理論に基づく標準宇宙モデルをさらに支持するものとなった。日本が主導する初めての本格的な宇宙論を目的とした銀河分光サーベイを、すばる望遠鏡によって成功させた点も高く評価できる。 2016年に出版以来、赤方偏移歪みの観測結果を報告する際に、広く引用される論文となっており、すでに55回の被引用回数に達している。このように本論文は、観測的宇宙論や重力理論の研究に新たな展開をもたらし、その波及効果が今後も見込まれる研究となっている。以上の理由により、2018年度日本天文学会欧文研究報告論文賞にふさわしい論文である。 |
受賞日 | : | 2019年3月16日 |
日本天文学会欧文研究報告論文賞
日本天文学会主催。欧文研究報告(PASJ)に過去5年に掲載された論文の中から、独創的で天文分野の発展に寄与した優れた論文(2編以内)に対して授与されます。
公益社団法人 日本天文学会のページ:http://www.asj.or.jp/
辻川研究室
辻川教授のページ:https://www.rs.kagu.tus.ac.jp/shinji/Tsujikawaj.html
大学公式ページ:https://www.tus.ac.jp/fac_grad/p/index.php?5826
研究室のページ:https://www.rs.kagu.tus.ac.jp/shinji/mainj.html
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