メンバー

阪田 治

工学部 電気工学科 教授

【研究課題】閉鎖環境内長期滞在者のストレス蓄積モニタリング技術の研究

宇宙コロニーのような一般社会から強く隔絶された閉鎖環境内に人間が長期滞在する際に、負のストレスが蓄積して心身の不調に繋がることが考えられる。一般にストレス蓄積由来の心身不調は深刻な症状となるケースが多々あるため、日常生活や業務の中での早期発見と早期対処が重篤化を防ぐ有効手段となる。本課題では、複数の生体情報や環境情報といった異なる物理量を持つ諸量間の因果性解析をすることにより、負のストレスの蓄積を察知する技術の研究を行う。

研究分野

  • 知覚情報処理 (自動診断、多変量因果解析、音響解析、動画像解析、感性情報処理)
  • 生体医工学・生体材料学 (多次元生体信号処理、画像処理、自動診断、医療機器、人工知能)
  • 計測工学 (信号処理、画像処理、医療機器、農業機械、システム設計)

研究キーワード

信号処理、画像処理、計測、制御、医療、福祉、食品プロセス、農業機械設備

研究職歴

200104-200403 茨城県立医療大学 保健医療学部放射線技術科学科 嘱託助手
200404-200503 独立行政法人食品総合研究所 食品機能部 特別研究員
200504-200603 日本学術振興会 筑波大学大学院 生命環境科学研究科 特別研究員(PD)
200604-200803 山梨大学 大学院医学工学総合研究部 情報システム工学系 助教
200804-201409 山梨大学 大学院医学工学総合研究部 生体環境医工学系 准教授
201410-201603 山梨大学 大学院総合研究部 機械工学系 准教授
201604-202003 東京理科大学工学部電気工学科 准教授
202104-    東京理科大学工学部電気工学科 教授

 

インタビュー

■なぜ宇宙の研究をすることになったか?

私は医療・福祉および農業・食品分野の新装置の研究開発がメインになります。
医療機器として非接触でストレスなどの生体情報を計る方法を研究していて、宇宙でも活用できるのでは、と思い参加しました。

現在の研究はまだ動き出したばかりで、いくつかのテーマが同時に進行しています。
・帰宅する瞬間、疲れが出そうな玄関などにカメラをつけて、映像からその人の精神的な疲れを数値化できないか。
・サーモグラフィーで興奮状態か沈静状態か、本人が気付かない間に自動で判別する、などです。

宇宙、南極、潜水艦の中などの閉鎖環境では、狭い空間内で自分以外の人と生活をします。
そういった中で、人間はどこに影響が出るのか。
影響が出る場面をセンシングしていきたいです。

うつ病などの病気になる前の人は、基本的にはその環境から離脱させないと治りません。
しかし宇宙空間のような閉鎖環境に長期滞在していると、そこから出ることは不可能です。
そのような逃げ場がない、または簡単に逃げられないところで日々過ごしているとなりやすい。

地上宇宙関係なく、そういう人を発症前に見つけたい。

■研究開発した、あるいは、している技術をつかって宇宙で実現したいことは?

お母さんのようなシステムを実現したいです。

イメージとしては、その人の日々のふるまいを判断してくれるシステムです。
最近無口だよね、とか、前は明るかったのに暗いよね、など家族や友人が見てピンと来るような状態を機械化したい。

近い将来、宇宙でビジネスする人が宇宙飛行士だけとは限りません。
ビジネスマンのような訓練を受けていない一般人が宇宙に長期滞在することになった場合、リスクの軽減に役立てると思います。

■地上で実現したいことは?

地上でも宇宙と同じです。

学問的にはストレスを測る方法というのは色々あります。
脈拍を測る、手に汗握る、唾液成分など。しかしほぼ全部が瞬間的なストレスの計測です。
数週間、数ヶ月、数年かけて徐々に溜まっていく状態というのは生体情報として測る方法がありません。実際、現在は医師が問診結果などを見て総合的・主観的に判断しています。
これを機械化したいです。

■研究していて印象に残ったこと・楽しいと感じたことは?

医療関係の新装置の開発に携わっていると、医学部みたいな研究と思われがちですが、技術的には画像処理と信号処理。目的は電気の研究そのままです。
装置の中でも頭の部分なので、絵を読み解いたりとか信号から情報を抜いたりする研究をします。

信号画像処理の研究としては、結構やることがたくさんあるのでやりがいがあり、それが楽しいです。