建築設計スタジオ2fのシラバス情報

科目名称
Course title(Japanese)
建築設計スタジオ2f 科目番号
Course number
71PDHIA635
科目名称(英語)
Course title(English)
Studio 2f of Architectural Design
授業名称
Class name
建築設計スタジオ2f
教員名 山名 善之,萬代 恭博,田原 幸夫
Instructor Yoshiyuki YAMANA, Yukio TAHARA, Yasuhiro MANDAI
開講年度学期 2022年度 前期
Year/Semester Intensive classes in the second semester, every Saturday all day
曜日時限 集中講義
Class hours Intensive classes in the second semester, every Saturday all day
開講学科
Department
建築学専攻、社会人に対して科目等履修生として開講する
外国語のみの科目
(使用言語)
Course in only foreign
languages (languages)
-
単位
Course credit
4.0 授業の主な実施形態
Main class format

対面授業/On-site class
神楽坂校舎での講義、及び都内・横浜等の現地見学
概要
Descriptions
日本と海外における指定・登録文化財の保存活用の歴史と現状を、歴史的経緯を踏まえながら解説し保存活用のデザインの在り方を考える。

何を守り何を変えるのか
近年、歴史的環境への社会的関心は非常に高まりつつあり、国の文化財登録制度や各地方自治体の施策によって、重要文化財以外の歴史的建物や町並みへの保存優遇措置もとられるようになってきた。また、産業施設を含む近代化遺産や、人間と自然の共同作品ともいうべき文化的景観という、より広範な文化財の概念も社会に認識されつつある。しかし残念ながら、歴史的な環境を保存することの理念やデザインの在り方などについての統一的思想は見られない。特に都市内にある建築の場合、保存と開発の妥協的産物としての奇妙なデザインが横行しているのである。建物の建て替えに当たり「歴史の継承」と称して、古い建物のファサード(建物外壁)や似て非なるレプリカ(模造外壁)を新築高層ビルの足元に貼り付ける、といったデザインが、日本中どこでも見られるようになった。現代の日本の社会では、先人たちの残してくれた豊かで美しい本物の生活環境はどんどん失われ、目先の経済性をすべてに優先させた理念無き新築建物が増産されている。21 世紀の日本において、我々の周りの生活空間としての都市を、真に魅力的で豊かなものにするための智慧が緊急に求められている。保存修理から活用設計へ日本の社会においては長い間「文化財」といえば、“特別な伝統的建造物”というイメージがあり、日常的に使われている一般の建築とは異なるもの、という感覚があったかもしれない。しかしいまや文化財も、“特別な宝物”として保護されるだけのものではなくなってきている。特に都市内の近代建築は、現代建築と同様に日常的な業務に使用されているものがほとんどであり、ここに現代の都市における、近代建築の「保存再生デザイン」という重要なテーマが生まれてきたのである。近代建築を使い続けるに当たっての課題、それは建物の文化遺産としての価値(オーセンティシティ・守るべき本物としての価値)と建築的性能(日常的に使い続けるための安全性、機能性、快適性など)をいかに調和させるか、というところにある。つまり近代建築を使いながら保存して行くためには、今までのような「保存のための修理」だけではなく、現代建築と同等の性能を確保するための「活用するための設計」という行為が必須となるのである。さらに我が国においては文化財、とりわけ重要文化財保存修理の設計監理は、専ら文化庁の認定した修理技術者(文化財建造物修理主任技術者)の仕事であり、設計・デザインを生業とする建築家はほとんど関わってこなかったことも、使い続ける保存にとって大きな弱点となっている。これは重要文化財の保存修理が、活用よりも創建時への復原を重視してきたこと、国の補助金事業として行われてきたことなどに関係している。しかし今後ますます増加すると思われる多様な文化遺産の保存や活用の事業を、修理技術者のみが担うことは困難であるし、もはや現実的ではない。社会全体で保存活用事業を支えるシステム作り、特に保存再生の設計監理を確実に担えるスペシャリストの育成が急務なのである。縦割り社会を超えて半世紀以上前のフランスにおける「マルロー法」を持ち出すまでもなく、現代の都市における文化遺産の保存活用は、建築都市行政と文化財行政が手を取り合って進めなくてはならないものであろう。近現代建築の保存における喫緊の課題は、「文化遺産」としての価値を守ることと「建築」として有効に使い続けることを如何に両立させるか、という点にある。我が国の悪しき縦割り行政を排除し、文化庁や国土交通省といった関係官庁の枠を超えて、豊かな国土づくりに向け一体となって文化遺産の保存・活用を進めなくてはならないのである。

以上、《田原著:「建築と都市の保存再生デザイン」序論 抜粋》を前提に、本授業においては講義とゼミ形式における履修生の課題プレゼンと討議を通してヘリテージ・デザインを習得する。また、事例を見学することによってより具体的にヘリテージ・デザインとはどのようなものかを理解することとする。


目的
Objectives
日本と海外における指定・登録文化財の保存活用の歴史と現状を歴史的経緯を踏まえながら解説し、保存活用のデザインの在り方を学習し、そのうえで東京・横浜の指定文化財を含む文化遺産を事例に、都市における文化財の保存デザインの理念と手法を演習課題を通して習得することを目的とする
到達目標
Outcomes
現代の日本の都市における文化財のあり方を制度等とともに理解し、ヘリテージ・デザインの立案の方法を体得し、合理的にプレゼンテーションできることを到達目標とする。
履修上の注意
Course notes prerequisites
毎回の授業に必ず出席すると共に、課題に取り組み、ゼミ形式の講評において自身の課題への取り組みをプレゼンすると共に他受講生と共に議論を積極的にすること。
アクティブ・ラーニング科目
Teaching type(Active Learning)
課題に対する作文
Essay
- 小テストの実施
Quiz type test
-
ディベート・ディスカッション
Debate/Discussion
- グループワーク
Group work
-
プレゼンテーション
Presentation
- 反転授業
Flipped classroom
-
その他(自由記述)
Other(Describe)
-
準備学習・復習
Preparation and review
教科書、参考書等に目を通しておくこと。
成績評価方法
Performance grading
policy
各授業ごとの課題の取り組みのプレゼンテーション(30%)、ゼミ形式での議論(20%)、最終プレゼンテーション(50%)で持って評価する。
学修成果の評価
Evaluation of academic
achievement
・S:到達目標を十分に達成し、極めて優秀な成果を収めている
・A:到達目標を十分に達成している
・B:到達目標を達成している
・C:到達目標を最低限達成している
・D:到達目標を達成していない
・-:学修成果の評価を判断する要件を欠格している

・S:Achieved outcomes, excellent result
・A:Achieved outcomes, good result
・B:Achieved outcomes
・C:Minimally achieved outcomes
・D:Did not achieve outcomes
・-:Failed to meet even the minimal requirements for evaluation
教科書
Textbooks/Readings
・教科書を使用する場合は、MyKiTS(教科書販売サイト)から検索・購入可能ですので以下のURLにアクセスしてください。
https://gomykits.kinokuniya.co.jp/tokyorika/
 
・Search and purchase the necessary textbooks from MyKiTS (textbook sales site) with the link below.
https://gomykits.kinokuniya.co.jp/tokyorika/
参考書・その他資料
Reference and other materials
教科書:「建築と都市の保存再生デザイン」2019 年 鹿島出版会

参考図書
「文化遺産保護憲章 研究・検討 報告書」1999 年 日本イコモス国内委員会
「建築の保存デザイン」2003 年 学芸出版社
「都市の記憶を失う前に」2008 年 白揚社
「近代建築を使い続けるためのデザイン」2014 年 彰国社

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授業計画
Class plan
第1回:4月23日(土) ガイダンス / 課題出題
第2回:4月30日(土) 見学会(東京駅, 港区郷土歴史館)
第3回:5月14日(土) 見学会(神奈川県立図書館・音楽堂, 神奈川県本庁舎ほか)
第4回:5月21日(土) 講義 / ゼミ形式演習
第5回:5月28日(土) 講義 / ゼミ形式演習
第6回:6月 4日(土) 中間講評会
第7回:6月11日(土) 講義 / ゼミ形式演習
第8回:6月18日(土) 講義 / ゼミ形式演習
第9回:6月25日(土) 最終講評会

課題検討の基本

下記の「作法」を理解した上で計画案を纏めること。

「ヘリテージに手を加える場合の基本的作法」
1.対象のヘリテージを徹底的に調べる → 調査から本物の価値が見えてくる
2.手を加えすぎない → 最小限の改変で活用できるようにすることが設計者の力量
3.形の模倣ではなくオリジナルの精神を継承する → 本物と偽物の分かれ道
4.各時代の貢献を評価する → オリジナルが全てではなく積層した歴史こそが重要
5.歴史を正しく継承するためのデザインの基本原則 → 新旧が調和しつつ区別できること

演習の進め方

下記のステップに従いプレゼンテーションを行う
Step1:課題対象の歴史調査と現地調査の纏め
Step2:調査による課題の発見と提案の方向性
Step3:計画案の理念とデザイン
Step4:デザイン・レビュー
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教職課程
Teacher-training course
実務経験
Practical experience
-
教育用ソフトウェア
Educational software
-
備考
Remarks
997A130
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