無機化学6のシラバス情報
科目名称 Course title(Japanese) |
無機化学6 | 科目番号 Course number |
13CHIAC304 | |
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科目名称(英語) Course title(English) |
Inorganic Chemistry 6 | |||
授業名称 Class name |
無機化学6 |
教員名 | 田所 誠 |
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Instructor | Makoto Tadokoro |
開講年度学期 | 2022年度 後期 |
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Year/Semester | 2022/the second term |
曜日時限 | 水曜2限 |
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Class hours | Wednesday/the second period |
開講学科 Department |
理学部第一部 化学科 Department of Chemistry, Faculty of Science, |
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外国語のみの科目 (使用言語) Course in only foreign languages (languages) |
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単位 Course credit |
2.0 | 授業の主な実施形態 Main class format |
ブレンド型授業/Blended format or オンライン授業(同期)/Online (synchronized remote) |
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概要 Descriptions |
この科目は金属触媒反応とその電子状態を結びつける基礎を学ぶ。金属錯体あるいは金属クラスターの電子数を数えるだけで、さまざまな金属化合物の性質が見えてくる。主として有機金属・遷移金属化合物の科学の基礎を修得することを目標とし、その中で無機および有機化合物のみではみられない、有機金属または錯体化合物に特有な結合の性質や反応性について学ぶ。その知識を用いて金属クラスターの性質や構造、さらに均一系触媒や不均一系触媒などの総合的な理解を目指す。また、授業の随所にトピックを織り交ぜて、錯体化学・有機金属化学・物性無機化学のおもしろさも紹介するつもりである。 |
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目的 Objectives |
金属錯体や金属クラスターの電子を数え上げ、クラスターの形や触媒反応へ応用することができるようになる。 |
到達目標 Outcomes |
金属錯体や金属クラスターの性質は、遷移金属イオンの種類によるが、それは電子数の違いで性質が変わってくることを学ぶ。 |
履修上の注意 Course notes prerequisites |
基礎からの理解を目指すが、無機化学1および無機化学2を履修しておくことが望ましい。授業の初めに、「最先端の科学」を理解するために最新科学のトピックスをNatureやScienceの雑誌からチョイスして紹介する。また、共同研究を行っていただいている先生方を招いて外研ではどのような研究を行っているのか、あるいは田所研ではどのような研究を行っているのか時間があれば簡単に解説したい。 |
アクティブ・ラーニング科目 Teaching type(Active Learning) |
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課題に対する作文 Essay |
○ | 小テストの実施 Quiz type test |
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ディベート・ディスカッション Debate/Discussion |
- | グループワーク Group work |
○ |
プレゼンテーション Presentation |
- | 反転授業 Flipped classroom |
○ |
その他(自由記述) Other(Describe) |
- |
準備学習・復習 Preparation and review |
テストは持込可を予定している。必ず、ノートに書いてあることを理解しておくことが望ましい。授業のたびにキーワードになるところを話すので、ぜひノートにメモをとって、さらに参考書で復習しておくこと。はじめは簡単であるが、徐々に難しくなっていく。授業のコツは、キーワードについて自分で説明できるように、ノートに説明文を書いておくことが望ましい。 |
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成績評価方法 Performance grading policy |
平常点50%(授業への積極的参加/レポート点/課題点)と、期末試験50%で評価を総合的に行う。 |
学修成果の評価 Evaluation of academic achievement |
・S:到達目標を十分に達成し、極めて優秀な成果を収めている ・A:到達目標を十分に達成している ・B:到達目標を達成している ・C:到達目標を最低限達成している ・D:到達目標を達成していない ・-:学修成果の評価を判断する要件を欠格している ・S:Achieved outcomes, excellent result ・A:Achieved outcomes, good result ・B:Achieved outcomes ・C:Minimally achieved outcomes ・D:Did not achieve outcomes ・-:Failed to meet even the minimal requirements for evaluation |
教科書 Textbooks/Readings |
・教科書を使用する場合は、MyKiTS(教科書販売サイト)から検索・購入可能ですので以下のURLにアクセスしてください。 https://gomykits.kinokuniya.co.jp/tokyorika/ ・Search and purchase the necessary textbooks from MyKiTS (textbook sales site) with the link below. https://gomykits.kinokuniya.co.jp/tokyorika/ |
参考書・その他資料 Reference and other materials |
コットン・ウィルキンソン・ガウス「無機化学」(下)および「基礎無機化学」(培風館)、マクダニエル・ダグラス「無機化学」(下)(東京化学同人)、シュライバー「無機化学」(下)(東京化学同人)、ヒューイ「無機化学」(下)(東京化学同人)、山本明夫「有機金属化学ー基礎と応用」(裳華房) |
授業計画 Class plan |
1 有機金属化学とは? 有機金属化学と錯体化学の歴史的な流れと、現在におけるトピックスについて簡単に紹介し、その触媒や環境問題などの役割について簡単に学ぶ。例えば「高分子触媒」「水俣病」「ハマチ騒動」「マグロ騒動」「環境ホルモン」など 2 18電子則とルイス構造: 有機金属化合物についての18電子則の成り立ちとその数え方、その例外について例えば分子軌道論的な立場から学ぶ。 3.錯体の配位子場と分子軌道法: 金属錯体の配位子場理論の簡単な復習と分子軌道法による錯体の統一的な取り扱いについて学ぶ。(復習) 4. 金属カルボニル化合物: カルボニル錯体の合成や性質から、18電子則による構造予測を学んでいく。金属錯体の重要な性質は配位子からの逆供与結合である。そして、多核金属クラスターによる18電子則による取り扱いには限界があることを学ぶ。 5. 金属カルボニルクラスターのIRと構造因子 18電子則ではCOの配位形態まで求めることはできなかった。しかし、IRを用いるとCOが"末端型"なのか"架橋型"なのかわかる。さらに、中途半端な"半橋かけ型"構造をもつCOの構造因子について学んでいく。 6. 多核金属クラスターの合成 ①ハロゲンイオンの除去 ②熱縮合 ③酸化還元縮合 ④塩基によるCO損失⑤不飽和有機金属化合物のクラスター合成法を学び、実際の合成の難しさも含めて紹介する。 7. 金属クラスターと触媒 不均一系触媒と均一系触媒に分けて触媒のメカニズムを学んでいく。金属クラスター錯体は、固体触媒におけるモデル化合物として発展してきた。金属クラスターと固体触媒の相同性や金属クラスターの反応メカニズムなど、触媒と金属クラスターの関係について学んでいく。 8. Wade則 ホウ素などの内向型結合形成の性質をもつ化合物は、ボランなどの水素化ホウ素化合物の多様なクラスター構造を作ることが知られている。そして、その構造は骨格電子数を数えるだけで決まってくるというWade則に準じる。このWade則がなぜ成立するのか、その理由について学んでいく。 9. Wade-Mingos-Laher則 (多面体骨格電子対理論) ある種の金属クラスターは、水素化ホウ素化合物のクラスター構造と同様に、その骨格構造を骨格電子数を数えるだけで予想することができる。このWML則の成り立ちの原理を、Wade則を通して学んでいく。 10. 金属クラスターとアイソローバル(等電子性) ノーベル賞をもらった理論計算学者のHoffmanは、アイソローバルという概念で、金属クラスターと低分子有機化合物が、同じような性質をもつことを説明した。この"アイソローバル"という概念を学び、金属クラスターの性質を予測できるようになる。 11. 面冠原理および二次元面冠原理 WML則で説明できないような金属クラスターも面冠原理や二次元面冠原理の法則を学ぶことによって、骨格電子数から骨格構造を予測できるようになる。 12. 電子適正化合物と金属クラスター 18電子則やEAN則に従う低分子化合物や金属クラスターなどは、その構造を全電子数を数えることで予測することができる。また、SN化合物なども反結合性軌道に入った電子対を考えることで、その分子構造を説明できるようになる。 13. 均一系触媒 分子性金属錯体触媒について、その反応メカニズムやウィルキンソン触媒の実例を紹介しながら、学んでいく。また、トピックとして不斉酸化触媒や不斉水素化などを実例を交えて学ぶ。 14. 不飽和配位子の有機金属錯体 Fisher型カルベンやShrick型カルベン、アルケンやアルキンの金属錯体の合成と性質、またはその反応性について学ぶ。さらに、シクロペンタジエニルやその他の環状不飽和化合物を配位子に持つ化合物についての分子軌道論的な性質やその分光的な特徴について学ぶ。 15. ゼオライトの化学 講義に余裕があれば、トピックスとしてゼオライト(Zeolite)について学ぶことができる。ゼオライトは日本語で「沸騰石」、「分子ふるい」ともいわれ、小分子が入るような規則的な空孔をもつ結晶である。このゼオライトは農業、建築業、触媒化学、など産業面で役立っているほかに、ナノテクノロジー・ナノサイエンスにおいても注目されている材料である。 16. 到達度評価 |
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教職課程 Teacher-training course |
本科目は、教育職員免許状取得(教科:理科)に必要な教科に関する科目の「化学」区分に該当します。 ただし、教科に関する科目区分については、入学年度により異なるため、各自、入学年度または適用となる年度の学修簿により確認をしてください。 |
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実務経験 Practical experience |
田所研の外部研修先の大学の先生による化学のトピックスの講演を予定している。はじめの15分ぐらいで、理科大以外の化学研究について学ぶことができる。 |
教育用ソフトウェア Educational software |
Material Studio, Chem Draw |
備考 Remarks |
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991322V |