Q49

アインシュタインの一般相対性理論によれば、重力は時空のゆがみと解釈され、そのゆがみが波として空間を伝わる現象が重力波です。2015年に始めて重力波の観測が行われたときのゆがみは非常に小さいものでした。これは太陽から地球までの平均距離を基準とすれば、どれくらいの量になるでしょうか?

解答:③

2016年2月8日に米国にある重力波実験装置LIGOで「2015年9月14日にアインシュタインが予言した重力波を捕らえた」という発表が行われました。重力波の初めての観測だけでも驚きですが、13億光年のかなたに存在した太陽質量の36倍と29倍の2つのブラックホールが合体し、太陽質量の62倍の1つのブラックホールが出来る際に発生した重力波を検出したのですから、ブラックホールの実在も明らかになったので、2重の大発見です。
さて、本題のLIGOで観測されたゆがみ(strain)の大きさを考えてみましょう。ゆがみは距離L に対する距離の変動 δLの比で定義されます。
LIGOの観測では、δ L / L = 10-21 = 0.000000000000000000001 のゆがみが検出されました。この量を太陽と地球の平均距離で定められる長さ、たとえば一天文単位(AU)1.495978707×1011mを基準に考えてみましょう。原子のサイズとして δ L = 10-10m = 0.0000000001m を採用しますと、δ L / L = 0.0000000001m / 1.495978707×10-11m = 7×10-21 = 0.000000000000000000007 というLIGOで観測されたオーダーのゆがみになります。①エベレストでは13桁、②人間の身長でも10桁大きいので、如何に小さい量か分かるでしょう。
実際のLIGOは基線となる光路長が4kmのマイケルソン型干渉計です。これに対する距離の変動の実寸を直接測ることは出来ないはずなのですが、光路の差がレーザー光の干渉で検出可能になっています。重力波観測装置は日本でもKAGRAが準備中で2018年には観測を開始する予定です。重力波を手がかりに宇宙の謎を解き明かせるか、今後の研究の進展にご注目ください。