熊谷亮平准教授熊谷亮平准教授

工学の真の実力とは自分の専門領域を
確立するのはもちろん、
周辺領域の専門家とも
協力して
問題解決できること

工学部 建築学科熊谷亮平准教授

工学は、人々の暮らしに直結して、社会全体に大きな影響を与えます。
現代社会の抱える問題を
解決していくためにも、
多くの専門家との協力が
不可欠になっています。

01専門基礎いろいろな科目を結び付けて理解していこう

 専門基礎の段階では、たくさんの授業を履修します。それらの授業は一つ一つが独立しているように見えますが、実はお互いに関連しあっています。例えば、私が担当している建築構法は、材料、構造、設計などの授業と関わりがあります。それぞれの授業を別々の科目ということで完全に切り離してしまうと、たくさんのことを覚えなければいけないと、知識を覚えることが負担になってしまうでしょう。また、ともすれば、単純な暗記作業に終わってしまい、学んだことが実力にならないこともあります。「このことは、あの科目でも出てきたな」というように、それぞれの科目がどのようにつながっているのかを自分なりに考えながら勉強していくことで、機械的に覚えることから脱して、自分から能動的に学んでいけると思います。
 工学は積み上げ型の学問なので、力学などの基礎的な科目でつまずいてしまうと、より専門的な科目が理解できなくなってしまいます。1年次、2年次に習う基礎科目はおろそかにせずに、苦手だなと思っても学んでおく必要があります。また、教養科目もできるだけ学んでおくと良いでしょう。自分の専門に直接関係ないからといって学ばないでいると、後々必要になって、「あのとき学んでおけばよかった」と後悔することもあります。私の専門である建築の場合、歴史を学ぶことは大きなプラスになります。歴史に興味をもつと、自然と建築の歴史も気になります。新しい建物を設計するときなどに、建築の歴史の流れを知っていると、そのことを踏まえて設計提案ができるので、基本的な素養となるのです。
 また、社会に出ると別の分野の専門家と協力して仕事をする機会も出てくるでしょう。そのときに、基礎的な部分をある程度学んでいれば、様々な専門家と話をするときなどもスムースになります。でも、全ての科目で同じように取り組む必要はないと思います。ある程度、幅広く学んだうえで、好きなものや気になったものを深く掘り下げていけば良いと思います。

02卒業研究研究をやり遂げるために能動的な努力を

 3年生までの勉強は、どれも自分の中に知識を蓄えていく作業です。つまり、インプットの作業でした。それに対して、卒業研究はアウトプットにあたる作業です。ですから、単に既にあるものを吸収するだけでは不十分で、新しい発想を加える必要があります。さらに、自分の研究内容を周りの人に話したり、文章で論理的に説明したりするスキルも求められます。
 卒業研究は、研究室によっては指導教員からテーマの提案があったり、手取り足取り指導されたりすることもあると思います。しかし、卒業研究は基本的に、自分から積極的に進めていくものです。しかし、4年生になっていきなり研究をやって下さいといわれても、何をしていいか分からないでしょう。
 つまり、卒業研究は研究の方法論を覚えていくトレーニング期間なのです。基本的には、学生からテーマや目的などを提案してもらって、その提案をベースに、指導教官がアドバイスをしながら研究を進めていくのが理想的だと思います。しかし、結果的には、研究室で長い時間をかけて取り組んでいる研究を引き継いだり、先輩が取り組んでいる研究を手伝うことになったりすることもあるでしょう。その取り組みを通して、計画的な研究の進め方、社会へ貢献していく考え方などを学んでいきます。
 卒業研究は、どのようなテーマを選ぶにせよ、必ずやり遂げるという気持ちが大切です。研究のトレーニングなのですから、必ず画期的な成果を得なければならない、と身構えて自分を追い詰める必要はありません。むしろ、分からないことにぶつかっても、分からないなりに表にまとめたり、論文を調べたりと、能動的な努力が求められます。分からないことはそのままにせず、教員や先輩に質問するのも良いでしょう。そのように努力をしたり、コミュニケーションをとったりすることで、進むべき道が見えてきます。最初は暗中模索の苦しい時期が続くかもしれませんが、それを抜けるとおもしろくなります。うまくいかないからとすぐに諦めるのではなく、粘り強く辛抱することも大切です。研究や学問が楽しく思えてきたら、こちらのものです。

03専門研究広い視野を持ちながら専門性を深めよう

 大学院修士課程は、自分の専門性を高めて、修了後に自分の専門性をより活かして社会に貢献したい人が進むところであると思います。卒業研究を経験すると、自分の取り組んでいる学問領域のことがある程度見えてきます。そうすると、その分野の中で何を掘り下げていくのかという意識が芽生えますし、自分のアイデアを提案することもできるようになります。卒業研究までは課題をクリアするのに精一杯になっていたこともあるかと思いますが、大学院では自分のやりたいことに腰を落ち着けて取り組むことができます。経済活動に直接結び付かなくても、自分が重要だと思うことを追求したり、新しいことを始めたりしたい人には、とても良い環境が待っています。
 専門研究は、研究そのものが新たな知見をもたらすものであることが最低条件です。学問領域をじっくりと深めていきたいという気持ちがあれば大丈夫です。しかし、学問領域に興味がないと、取り組んでも自分が苦しくなるだけです。研究内容は卒業研究よりも自ずと深いものになりますし、専門性も増してきます。大学院生になると、研究室で過ごすことが多いので、ともすれば専門の世界の中に閉じこもりがちになってしまいます。そういうときは、自分の研究を他の研究室の人に話して、理解されるかどうか確認するのも良いでしょう。専門以外の人にも理解してもらえるくらい分かりやすく説明することは、社会に出たとき、他の分野の専門家と仕事をするときに役立つはずです。

一言コメント

あまり成果が上がらずに、何のためにやっているのか分からなくなるときは、視野を広くもって、自分の研究が将来的にどのような可能性があるのか、この研究で社会にどのように貢献したいのかということを考え直して、再確認するのが良いと思います。

熊谷亮平准教授

理科大生手形

工学系の学習のいい学び、
悪い学びをそれぞれご紹介します!

  • いい学び

    いい学び

    大学の学びは、授業内容や教科書を覚えることで終わらせてはいけません。学んだことを友達や先輩などを議論して深めていくのが理想的です。また、自分の専門分野に関係あるものはもちろん、関係ないものでも、いろいろな本を読むのも良いでしょう。たくさんの本に触れることで、自分の興味あることにも出会えます。

  • 悪い学び

    悪い学び

    試験で良い点を取ろうとする姿勢は大切ですが、それが目的になってしまうと危険です。試験で良い成績を取ることに集中するあまり、最低限の勉強で乗り切ろうと思ったり、効率重視で努力を惜しんだりすると、表面的な理解だけで終わってしまうかもしれないからです。試験や成績は、人生の最終目的ではないので、その先を見据えて学んでいくことが大切です。