めざせ、「植物サプリ」。
私たちは、植物が生きる仕組みの中で、活性酸素の役割を明らかにしてきました。活性酸素は人間を含めて生物にとって毒性の強い物質ですが、ここぞという場面では積極的に作られ、重要な働きをします。たとえば、植物の受精の際に、活性酸素がないと花粉管が伸びられないことを発見しました。
また、植物にとってのオートファジー(細胞内自食作用)の役割を解明しました。細胞の中の一部を膜で包み込んで壊す、ほとんどの生物が持つリサイクルのメカニズムですが、それができなくなったイネは花粉をうまく作れず、実をつけられなくなる、つまり花粉を作る上でオートファジーが大切な働きをすることを発見しました。
こうした研究は、植物を病気や環境ストレスに強くするなど、新世代のバイオテクノロジーの展開をめざしたものです。もっと研究を進め、殺菌剤や殺虫剤などの農薬を使わず、植物の免疫力を高めて病気に強くする「植物サプリ」のようなものを作りたいと考えています。