対談企画

Vol.6「学問の原動力は「好奇心」感動を与える理数教育を」

本学神楽坂キャンパスにオープンした「秋山仁の数学体験館」に宇宙飛行士の向井千秋さんが訪問されました。
森口副学長
向井さん、今日は本学の数学体験館にお越しいただき、ありがとうございました。
この体験館では、数学を楽しみながら理解することが出来ます。
向井さんも子どもたちに宇宙の魅力などを伝える活動をされていらっしゃいますし、藤嶋学長、秋山教授も子どもたちに科学や数学の魅力を伝える活動をされています。
皆さんに今後の理数教育のあり方について、お話いただきたいと思います。
向井さん
今回、数学体験館を見学させていただき、秋山先生は、ご自身の研究の成果を学会等で発表するだけでなく、誰でも分かるように具現化していらっしゃるのがすごいと思いました。わたしたち宇宙飛行士も、そういうことを積極的にやらないといけないなと思いましたね。
秋山教授
正直、数学者は一般的に世の中に情報発信することがあまり得意でなく、そのせいか積極的ではないと思います。現在、多くの数学者たちは素晴らしい成果を挙げていますが、次の世代に託すことも非常に大切なことです。本人がいくら努力してもやっぱり限界があります。だからこそ、これから続く若い人たちに数学に興味や関心を持ってもらわないといけないと考えています。そのためには、まず若い人たちに「数学って魅力的」「数学って楽しい」、「こんなに役に立つのか!」と、感動を与えたいと思っています。そのために、この体験館を作りました。
向井さん
でも具現化して、子どもに分かってもらうのってすごく大変ですよね。
秋山教授
おっしゃるとおりです。新しい論文を書くのと同じくらい、難解な概念や理論、定理、法則、公式などを子どもたちに分かるように伝える方ことは工夫と労力を要します。
向井さん
わたしは宇宙医学が専門ですが、宇宙医学で学んだことを、子どもたちの食育や老齢化社会の対策などに具現化して、毎日使えるようにしたいと考えていますが、なかなかうまくいかないのが現実です。
また、先ほど秋山先生がおっしゃっていた「次の世代に学問を託す」という点で、もっと人材育成にお金をかける必要があると感じています。
秋山教授
確かに、教育に力を入れていかないと、その学問はそこで廃れて終わってしまう可能性があります。
向井さん
あと、わたし自身もそうですが、最近の教育は、ゆっくりと楽しく考える「ゆとり」がないように感じますね。
秋山教授
同感ですね。不思議を感じて、その謎についてじっくり考えること、すなわち、自分で問題意識を持つことが非常に大切だと思います。「ゆとり教育」は運用の面で、うまくいきませんでしたが、感性を研ぎ澄ませて、じっくり考えることは科学的姿勢の基本ではないでしょうか。
藤嶋学長
日常には、不思議なことや面白いことがたくさんあります。そういったことに目を向けるだけで、日常生活が豊かになりますね。
向井さん
わたしも、いろいろな所で講演しますが、小学生くらいまでは目を輝かせて聞いてくれます。中学生になると、受験などでゆとりがなくなってしまっていますね。
秋山教授
そうですね。中学生くらいになると暗記の勉強が主流になってしまって、だんだん勉強自体がつまらなくなってしまう傾向があります。興味関心を持ってもらうような内容にしないといけない。数学もゲーム同様、親が「もう数学やめなさい!」と言うくらい面白いものだと子どもたちに伝えたい(笑)。
藤嶋学長
数学でも、理科でも、「日常生活のこんな場面で使われているんだ」と知った時の驚きや感動、これがとても重要だと思います。ですから、子どもたちに、今勉強していることが、こんなふうに応用されていると説明する必要があると思います。
秋山教授
全く同感です。学問の原動力は「好奇心」です。「エッ、こんな所にも数学が応用されているのか、なぜ?」という好奇心に裏打ちされた「学び」でないと実りが少ないのです。原動力が「受験のため」では、本物の学問にならないし、将来、応用もできません。
向井さん
そうですね。好奇心は本当に大切だと思います。「これってどうなっているんだろう?」「これについてもっと知りたい」といった気持ちが、子どもたちの「夢」の原動力にもなると思います。「学ぶのって楽しい」ということを子どもたちに伝えていきたいですね。
森口副学長
子どもたちに学ぶことの楽しさを伝えることは重要なことですね。
本日はありがとうございました。

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