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「ロレアル-ユネスコ女性科学者 日本奨励賞」授賞式学生レポーターを経験して

~世界は科学を必要とし、科学は女性を必要としている~
The world needs science … Science needs women


2012年7月4日、世界最大の化粧品会社ロレアルグループの日本法人である日本ロレアル株式会社による、2012年度 第7回「ロレアル-ユネスコ女性科学者 日本奨励賞」の受賞者発表と授賞式が行われました。学生レポーターとして式に参加して参りましたので以下にご報告いたします。

物質科学分野の審査員 東京理科大学大学院 科学教育研究科 北原和夫教授
物質科学分野の審査員
東京理科大学大学院科学教育研究科
北原和夫教授

「ロレアル-ユネスコ女性科学者 日本奨励賞」は"女性のノーベル賞"とも言われており、日本の若手女性科学者が国内の教育・研究活動を継続できるよう奨励することを目的として日本ロレアル株式会社により創設されたもので、今年で7回目となります。対象は、博士後期課程に在籍、または博士後期課程に進学予定の物質科学及び生命科学分野の女性で、全国の大学や研究機関に対して推薦を募り、研究内容、専門知識、着想力など、日本の未来を担う女性科学者としての可能性を選考委員会より総合的に評価され、受賞者が決定されます。

本年度は、物質科学分野は工藤まゆみさん(28)(お茶の水女子大学大学院 人間文化創成科学研究科 理学専攻 化学・生物化学領域 棚谷研究室)、客野遥さん(28)(首都大学東京大学院 理工学研究科 物理学専攻 ナノ物性I研究室)、生命科学分野は髙田朱弥さん(32)(東京大学大学院 医学系研究科 消化器内科学)、中泉敦子さん(35)(北大阪警察病院 眼科)が受賞され、賞状と奨学金100万円が贈られました。


第7回 受賞者
第7回 受賞者

工藤まゆみさんは"DNAやタンパク質に見られるらせん構造を模倣した人工のらせん分子の創製に成功"、客野遥さんは"生体内における水の役割の理解や、海水を真水にする新しい薄膜などの開発に貢献"、髙田朱弥さんは"肝臓癌の発癌原因を解明し、癌予防法の開発や新規治療に道を開くことに貢献"、中泉敦子さんは"糖尿病網膜症をはじめとする網膜虚血性疾患の病態解明に貢献"したことが社会的意義として評価されました。

そして同賞の7周年を記念して、あらゆる分野を対象に、目標にチャレンジし次世代のロールモデルとなる個人/団体に贈られる「ロレアル_エトワール賞」が新設され、その最初の受賞者としてフィギュアスケート選手の安藤美姫さんが選ばれました。


安藤美姫さんと日本ロレアル株式会社代表取締役社長クラウス・ファスベンダー氏
安藤美姫さんと
日本ロレアル株式会社代表取締役社長
クラウス・ファスベンダー氏

「科学大好き人間の育成」、「国際的に活躍できる女性科学・技術者の育成の基盤づくり」、「小・中学校に対する科学への夢を育むための教育支援の研究と開発」を目標としている同校は、昨年11月、生徒たちによる新たな科学現象「BZ反応」の発見に関する論文が権威ある米科学専門誌『The Journal of Physical Chemistry A』に掲載されるという快挙を成し遂げており、2006年度及び2011年度からそれぞれ5年間、文部科学省よりスーパーサイエンスハイスクールに指定されています。

代表の先生が、「この賞に応募する際、理系クラスの方が少ない中厳しいのではと言われたが、続けていくうちに評価が高まってきた。まだこのテーマをやっているのかと言われることもあったが、粘り強く実験を繰り返しこつこつとデータを積み上げた結果、新しい現象を発見することが出来た。」とお話されていて、重ねてきた苦労を乗り越えた喜びが推察され感動致しました。



受賞者と審査員の方々
受賞者と審査員の方々

また、女性科学者や次世代のリケジョたちが、今後の長い研究人生を女性として歩む上での"理想の姿"を表した「リケジョ7つの誓い」が新たに制定され、以下の通り発表されました。

  • ・科学を一生愛すること
  • ・女性科学者の活躍の場がさらに広がるよう努力すること
  • ・次世代のお手本となること
  • ・世界の研究者たちと切磋琢磨すること
  • ・研究によって世の中に革新をもたらすこと
  • ・科学の魅力と無限の可能性を次世代に伝えていくこと
  • ・研究を支えてくれる周りの人への感謝の気持ちを忘れないこと

受賞者の方々のお話を聞いてとても印象的だったことは、「高価な実験装置を使えるなど特殊な環境は理系ならでは。実験は非常に面白く理系を選んで良かった」「科学者は華やかな仕事でも楽な仕事でもないけれど、自分の努力が実ったときの喜びは何物にも代えがたい」など、研究や仕事における面白さ、やりがい、努力によって逆境を乗り越えた喜びを感じながら研究・仕事に励まれていることでした。そして、「この受賞を、女性科学者として研究に励む今後の足がかりとしていきたい」「この賞を糧に、さらに情熱的に研究に取り組むだけでなく、女性科学者のロールモデルとなるような人物になりたい」と、現状に満足することなく、さらに向上していきたいという強い意志が感じられ感銘を受けました。

また、「研究者として大変なことはたくさんあったけれども性別は関係ないことが多かった」という声もあった一方で、「女性は結婚や出産の時期とキャリアアップの時期が重なってしまう」というお話がありました。確かに、女性の結婚・出産後の復職が難しいことが問題視され、それを補う制度も作られてきてはいるものの、まだまだ十分とはいえるレベルではないと思います。近年は大学やメディアでも女子学生の理系選択を推進する取り組みがされていますが、専攻によっては男女比の偏りが大きく、文系女子に対する理系女子の割合の少なさも顕著です。これらの問題を解決するためには、社会全体が現状を認識し、改善しようという意識を持つこと、実際に女性が活用できる仕組みを整えること、女子学生にロールモデルを示し将来像を描いてもらうことが不可欠であると考えます。そして、最終的にはそのような取り組みをしなくとも、男女同率の進路選択が為される状態にまで到達するべきだと思います。

インタビュー
インタビュー

女性の視点を生かした商品開発や研究も着目されるようになってきていますし、理系というフィールドで活躍されている素敵な女性は本当にたくさんいらっしゃいます。しかし、男性に比べると女性が最前線で活躍するケースはまだ多いとは言えません。今回、受賞者の方々の前向きな姿勢を拝見し、その魅力を発信することは重要であるとの思いを強めました。今後、女子の理系進学に対する偏見やネガティブなイメージが完全に払拭され、望むフィールドで存分に活躍できる社会になることを願ってやみません。この記事がその一助となれば幸いです。

最後になりましたが、日本ロレアル株式会社様ならびに本学広報課に、このような貴重な機会をいただけたことを感謝申し上げます。この日に経験したこと、感じたことを忘れずにリケジョの一人として活動して参りたいと思います。





基礎工学部 生物工学科 3年 北畠早紀




「ロレアル-ユネスコ女性科学者日本奨励賞」についてはこちら
(PDF)日本ロレアル『リケジョ(理系女子)』の意識調査(リンク)
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