セミナー「知のフロンティア」第12回を開催(12/7)

2021.05.24

※5/24更新

2020年12月7日(月)に、教養教育センターの主催で第12回「知のフロンティア」を開催しました。
連続講座「私が書いた本の話」の2回目である今回は、理学部第一部教養学科准教授の中丸禎子先生に、「『高畑勲をよむ』をつくる〜高畑勲さんインタビュー&研究論文をまとめた本ができるまで」というタイトルでお話しいただきました。Zoomを活用したオンラインでの開催で、34名(学生、教職員の合計)の参加がありました。

中丸先生にご紹介いただいた書籍は、中丸禎子・加藤敦子・田中琢三・兼岡理恵共編著『高畑勲をよむ 文学とアニメーションの過去・現在・未来』(三弥井書店、2020年)です。この書籍は、様々な分野の文学研究者が、高畑勲氏(映画監督・アニメーション作家)の作品を中心に据えつつ、作品の表現のあり方や、歴史的な文脈、根底にある思想などに注目して、多様な文化について論じた革新的な論集です。

中丸先生は、書籍の編集・執筆についての基礎用語をご説明くださった上で、テーマを「聞く」・「集める」・「書く」・「売る」・「知る」と分けて、順にお話しくださいました。
「聞く」では、この書籍の二つの「目玉」と言ってもいい、高畑勲氏のインタビューと、小田部羊一氏(アニメーター・作画監督)・中島順三氏(アニメーションプロデューサー)を囲む座談会がどのようにして実現したのかについてお話しくださり、「集める」では、原稿依頼・収集・校正の流れと、各章の内容をご紹介くださいました。さらに「書く」では、この書籍の中で中丸先生がご執筆された『長くつ下のピッピ』に関する論考の完成するまでについて、「売る」では、表紙や帯の決定から書籍が書店に並んだり新聞広告が載ったりするまでについて、丁寧に説明してくださいました。
最後に「知る」では、一冊の書籍を作り上げることを通して、中丸先生ご自身が学ばれたことをお話しくださいました。一言で言うと「とても楽しかった!」、その理由は、妥協せずに新しいものを追求していく真剣な人たちとの共同作業であったからだ、という中丸先生の真っ直ぐな言葉は、とても印象的で感動的でした。

講演後の質疑応答では、「高畑先生と実際に会われた時の印象・エピソードを知りたい」、「書籍の表紙と高畑先生・高畑作品との関係について知りたい」、「文系分野の研究の意義についてどう考えるか」などいろいろな観点からの質問が出て、活発なやりとりが続きました。研究に対して情熱的で誠実な中丸先生のお話に、参加者全員が引き込まれ、参加者からは、「本の内容だけでなく、本の出版に至る経緯や、表紙作成に対する中丸先生の熱意などが伝わってきて大変有意義な時間でした」、「プロの気概とその仕事を垣間見られました」などの感想が寄せられ、素晴らしいセミナーとなりました。

なお、中丸先生のご講演は、その後、内容を発展させて学外向けにも行われました。その内容を中丸先生が講演録としてまとめられており、以下のサイトで読むことができます。
https://www.rs.tus.ac.jp/nakamart/pdf/20210413kouen.pdf