海外渡航・滞在時の危機管理

海外渡航・留学にあたっての心構え

現在、海外では様々な暴動、テロ、内乱などのほか、ハリケーン、地震、伝染病などの自然災害も多く発生しています。近年では、日本人観光客や留学生が海外で事件や災害に巻き込まれるケースも多くなっています。海外へ渡航する際には、日本でも起こりうる交通事故、盗難、強盗、セクハラ、自然災害等のほかに、先にあげたような様々な危険が起こりうることを意識しておくことが大切です。

渡航先において、問題が生じた場合や予期しないトラブルに巻き込まれた場合は、自分の判断で対応しなければならないため、渡航前から自分でできる予防策をとっておくことが大切です。なによりも、自分の身は自分で守るという自己責任の意識を持って行動することが重要となります。

もちろん、学生の皆さんが海外へ渡航・留学する際には保護者の方との連絡を密にする必要があります。保護者の方は学生の皆さんの状況を気にかけていますので、滞在先や現地の情報について常に連絡を取り合うとともに、危機管理についても同様に、学生の皆さんと保護者の方で協力して、渡航前からの予防策を講じるようにしてください。
東京理科大学で実施されるプログラムで留学する場合には、大学への連絡も怠ってはいけません。東京理科大学の学生を代表してプログラムに参加しているのだという意識を持って行動し、滞在先の変更やトラブルに巻き込まれるなど状況の変化があった場合には速やかに大学へ連絡をしてください。大学、学生の皆さんと保護者の方が協力してトラブル等の解決にあたります。

情報収集

渡航前から自分でできる予防策としては、なによりも情報収集が大切です。渡航先の治安、犯罪の傾向、政治、生活環境、感染症、自然災害の頻度や文化・習慣・宗教・国民性などを調べることが必要です。

 渡航先の安全対策基礎データについて
 海外安全ホームページ(外務省)

 「ゴルゴ13の中堅・中小企業向け海外安全対策マニュアル」
 ※”中堅・中小企業向け”と謳ってはいますが、海外に渡航されるすべての方に
 共通する注意事項等を記載していますので、ご一読ください。
 第6話(海外渡航の基本とも言える内容となっています)

 渡航先の生活環境について
 世界の様子・国別生活情報(JICA・国際協力機構)
 世界の医療事情(外務省)

また、渡航先が大学や専門学校であれば、大学・専門学校のホームページを確認することも大切です。本学からの渡航者の多い欧米などでは、銃の校内持込についての規制や、キャンパス内での犯罪率を公表している所が多くあります。また、各大学・専門学校ごとに安全対策を講じている場合もありますので事前に確認を行いましょう。

また、近年個人での渡航が増加しているアジア地域では、宗教や生活環境についての事前情報の入手も大切です。
参考:インドの風俗、習慣、健康(外務省)

渡航前の準備-情報収集

  • 健康診断
    海外での体調を崩した場合、日本とは違う医療システム、医療事情のため治療を受けることが困難な場合があります(海外旅行保険のページ参照)。海外渡航の前には、健康診断を受診しましょう。渡航先大学・専門学校によっては健康診断書の提出が必要な場合もありますので注意が必要です。
    特に海外での歯の治療は、海外旅行傷害保険が適用されず、また診察の予約が取りにくいなど、費用と時間がかかります。
    海外に行ってから通院等に時間を費やすよりも、日本で万全な体調を整えてから渡航・留学に臨んでください。

  • 常備薬等
    日本でよく使用する常備薬については日本から持参するようにしてください。渡航先で入手可能な場合もありますが、薬が強い、体質との相性が悪い、夜間に購入できないなどの不便が考えられます。一般的な常備薬(内服)としては、風邪薬、解熱鎮痛剤、胃腸薬、乗り物酔いの薬、抗アレルギー薬などがあります。外用薬としては、消毒薬、かゆみ止め、日焼け止め、虫除け、殺虫剤などがあります。
    コンタクトレンズを使用している人は、コンタクトレンズ用品も必要です。

  • 持病
    現在治療中もしくは経過観察中の持病がある場合には、その病気の治療経過、使用中の薬について、主治医に英文で報告書を書いてもらい、現地へ持参してください。
    海外で入手困難と思われる薬については多めに持っていく必要があります。ただし、入国審査等で麻薬等と間違われたり、質問に時間を取られることのないように、必ず医師の証明書(英文)を一緒に持っていってください。
    また万が一の場合に備え、渡航先、又は大学のプログラムであれば大学に事前に連絡しておくことが重要です。

  • 予防接種
    海外渡航時には、入国のために必ず必要なものと、渡航先大学・専門学校から要求されるものがあります。海外渡航の前には、各国の感染症情報を「海外安全ホームページ(外務省)」から入手し、必要に応じて予防接種を受けてください。
    破傷風、風疹、麻疹などは、特に求められていない場合でも接種していくことを勧めます。また、A型肝炎、B型肝炎、狂犬病などは特にアジア、アフリカ、中東地域では予防接種を受けていくことが必要となります。

  • 鳥インフルエンザ(SARS)等の新型感染症について
    人・物が国際的に移動する現在では、SARS等新型感染症が発生する危険性があります。常に、最新情報を手に入れるよう心がけましょう。感染が拡大している地域への渡航は自粛してください。
    海外安全ホームページ(外務省)

  • 自然災害等について
    渡航先の過去の自然災害発生情報を事前に確認することが必要です。大型ハリケーンや、地震、津波等が発生した場合には、渡航を自粛してください。

  • 暴動、テロ、内乱について
    新型感染症や自然災害とともに、注意が必要です。渡航前には渡航先の情報を入手し、危険情報が出ている地域への渡航は自粛してください。
    海外安全ホームページ(外務省)

事前準備-海外旅行傷害保険

海外では、盗難、交通事故、予想しないアクシデントに見舞われることがありますので、海外旅行傷害保険への加入を強くお勧めします。クレジットカードに付帯している海外旅行傷害保険は、旅行期間、適用範囲、補償額が限られていることがありますので、クレジットカード付帯の保険以外にも保険に加入することを推奨します。

海外旅行傷害保険は、東京理科大学生活協同組合(生協)でも取扱っていますので、各校舎の生協店舗に問合せてください。

本学から協定校等へ留学する場合には、以下の金額を基準に海外旅行傷害保険に加入することを義務付けています。

補償項目 保険金額
傷害死亡 3,000万円
傷害後遺障害 3,000万円
治療・救援費用 無制限
応急治療救援費用 300万円
疾病死亡 1,000万円
賠償責任 1億円
携行品 40万円
航空機寄託手荷物遅延 10万円
航空機遅延費用 2万円

渡航前の準備-各種手続き

  • 国民年金・国民健康保険等の手続
    諸手続については、各自の区・市役所および出張所の窓口(年金課・国民健康保険係)などに問合せてください。

  • 在外選挙の手続
    海外で3ヶ月以上滞在している20歳以上の人は、在外選挙人名簿へ登録し、在外選挙人証を取得することによって日本の選挙(衆議院・参議院議員選挙)に投票することができます。ただし、この手続をするためには、区・市役所に転居届を提出しなければなりません。市・区役所へ問合せて検討してください。
  • たびレジ登録、在留届提出
    海外渡航の際には、必ず「たびレジ」の登録や「在留届」を忘れないようお願いします(3か月未満:旅レジ、3か月以上:在留届)。
    それぞれの申請・登録方法等、詳細は添付、および下記リンクをご覧ください。
    また、併せて、事前の安全対策や滞在先での緊急情報には十分注意するようお願いします。

    たびレジ…たびレジは、海外旅行や海外出張される方が、旅行日程・滞在先・連絡先などを登録すると、 滞在先の最新の渡航情報や緊急事態発生時の連絡メール、 また、いざという時の緊急連絡などが受け取れるシステムです。 滞在期間の長い短い関係なく、旅行前に必ず登録願います。
    在留届…旅券法第16条により、外国に住所又は居所を定めて3か月以上滞在する日本人は、その住所又は居所を管轄する日本の大使館又は総領事館(在外公館)に 「在留届」を提出するよう義務付けられています。

    在留届を提出しておくことで、緊急事態が発生した場合に、日本国大使館や総領事館よりメールによる通報や迅速な援護が受けられます。また、家族・所属機関への迅速な連絡が可能となります。現在は外務省HPより電子登録も可能です。

滞在時の危機管理

  • 異文化適応
    特に留学など長期にわたる海外渡航時には、異文化適応が大きな課題となることがあります。人は、異文化へ接触したとき、一般的に以下4つのプロセスを体験するといわれています。

    1. 新しい文化への興味、興奮から楽しい気分を味わう(幸福)
    2. 異文化生活に慣れるとともに、これまでの生活・文化との違いが目に付き始め、カルチャーショックを受ける(不安、疲れ、苛立ち)
    3. 異文化への適応方法に気づき、徐々に安定してくる(適応)
    4. 異文化へ適応し、安定した生活を送れるようになる(安定)

    ii.の期間には孤独感や不安感を抱いたり、ホームシックを感じたり、感傷的、感情的になることがあります。また、留学の意味や授業に不満・疑問を抱いたり、不安感から周囲の日本人に大きく依存することもあります。
    ii.の期間の長短、i.~iv.を何度も繰り返すなど、異文化適応へのプロセスには大きく個人差がありますが、異文化でのカルチャーショックはほぼ全員が体験することです。
    まずは十分な睡眠・休養と栄養補給により体調を整え、他人に自分の不安や感情を話してみる(メールや手紙などで表現するのもよい)、現在だけではなく将来のことに目を向ける、留学当初の目的を改めて見つめてみるなどの方法によって、カルチャーショックに対応しましょう。

  • 飲酒
    飲酒については、渡航先によって大きく規制が異なります。特にイスラム教圏の国々では飲酒が全面的に禁止されていたり、飲食店や公衆の場での飲酒を嫌う国もあります。また、欧米諸国では国や州によって、飲酒可能な年齢が異なりますので注意が必要です。渡航先の国、州等の規制に基づいた行動をとってください。
    また、規制の範囲内であっても、過度の飲酒はスリ、強盗、暴力事件、近隣トラブル、犯罪、交通事故等のトラブルの発生率を高めることになりますので、日本以上に注意が必要です。
    見知らぬ人からの誘いで外出する、大学生の間で開催されるパーティー等に一人で参加する等は避けてください。飲み物に薬物を入れられて昏睡状態になったところで、持ち物を盗られる、性暴力を受ける等の被害があります。

  • 喫煙
    喫煙についても、渡航先によって大きく規制がことなりますので事前に情報を収集しておくことが必要です。世界的に禁煙の動向が強くなっていますので、喫煙可能年齢、喫煙場所が限られているものと考えて行動して下さい。特に飲食店や公共の場での喫煙が禁止されていたり、そうした場での禁煙がマナーとなっていることがありますので注意してください。

  • 自動車・自転車の運転
    渡航先では交通法規や習慣が日本とは異なりますので、自動車・自転車の運転には十分注意してください。事故に遭遇もしくは当事者になってしまった場合は、その場で解決を図ると後々トラブルを引き起こす可能性がありますので、まずは警察、救急、保険会社、レンタカー会社等へ連絡をとってください。在外公館に弁護人や通訳等の協力を依頼することもできます。渡航先の緊急時連絡先(警察、救急の電話番号、在外公館、保険会社連絡先など)を渡航前に調べておくことも重要です。

  • 身分証の携帯
    渡航先では、常にパスポートコピーや渡航先大学の学生証など身分を証明するものを携帯してください。パスポート等貴重品についてはあまり持ち歩かないことをお勧めしますが、各自で一番安全と思われる方法で保管してください。パスポート、ビザの発行番号、番号、有効期限、クレジットカードの番号、有効期限、緊急時連絡先を控えておいてください。

  • 宗教・民族
    日本人は日常、自国および他国の宗教について意識したり、考えることが少ないといわれますが、そうした無関心・知識の欠落から、渡航先での誤解・齟齬・トラブルを生むことがあります。また、渡航先国への偏見や差別につながることもあります。渡航先国の宗教や民族について知り尊敬の念を持つことが、海外で旅行・生活するためには重要となります。多くの国の記念日や祝祭日が、その国の宗教、民族、歴史に関わっており、その期間の前後に紛争や民族・宗教的な対立が起こりやすいことも念頭に入れておきましょう。

  • 麻薬・覚せい剤
    日本でも取りざたされることの多い麻薬や覚せい剤ですが、世界の国々の麻薬・覚せい剤に関する規制や取り締まりは強化される傾向にあります。所持しているだけでも罪となり、罰則も日本と比較できないほど厳しいものとなっています。自ら手を出さないことは当然のことながら、見知らぬ人からの荷物を預からない、見知らぬ人からのもらい物をしないなどの注意が必要です。知り合いなどから麻薬・覚せい剤の誘いを受けた時には、柔らかく、かつきっぱりと断ってください。

  • セクシャルハラスメント、アカデミックハラスメント等
    渡航先(大学・語学学校・滞在先など)でセクシャルハラスメントやアカデミックハラスメント等差別的扱いを受けたと感じた場合には、すぐに渡航先のアドバイザーに相談してください。国や地域によって、性や性的行為、教員と学生の関係に関して文化的な差異があります。そのため、おかしいと感じた場合にはすぐに渡航先のアドバイザーに意見を求めることが必要です。

  • 性行動・同性愛等
    性行動についても自己管理を徹底してください。 文化によって性に関する認識や考え方が異なるため、イスラム教国や仏教国ではあからさまな性がタブー視される傾向がある、欧米諸国では大学のキャンパス内で性暴力が多く発生している等の事象とともに、自分の行動が自分では意図していない解釈をされることがある事を覚えておいてください。海外では安全、健康を考える上で、性に関しては保守的な態度をとることが必要です。また、同性愛等、その種の行動を望まない場合には、きちんと意思表示をすることが大切です。

  • 差別・偏見
    現在、観光地や留学先には日本人・アジア人も多くいますが、日本を出れば人種的マイノリティであることに変わりはありません。好奇の目で見られたり、不愉快な思いをする可能性もありますが、必ずしも悪意を伴っているものではないことも考えてみましょう。
    また、自分が差別や偏見を受ける可能性と同様に、あなたが差別や偏見を持って相手に対応してしまう可能性もあります。
    自分とは違う価値観、考え方、文化的背景を持った人々と接するには、人間としての尊厳や自文化と他文化のアイデンティティをはっきり意識することが必要です。

  • その他
    海外旅行傷害保険の請求にひつようとなりますので、盗難、強盗、事件、事故等の被害にあった場合には、まず警察、救急、保険会社等へ連絡するとともに、現地の警察による「被害届」を必ず取っておきましょう。病院などへ通院した場合には、医師の診断書や通院にかかった費用の領収書を取っておくことが必要です。
    海外には、国家防衛、治安対策、文化遺産保護のために写真や動画撮影を禁止している場合があります。特に軍事施設や政府関連機関、国境近辺などは国家防衛の観点から厳しく罰せられることもあります。また、公共施設や美術館・博物館では撮影禁止の場所も多くありますので、確認をとってから撮影してください。
    一般の方を撮影をする際にも、必要に応じて許可をとる、適切でないと思われる場合は撮影をしないなど、マナーを守ってください。
    政治や文化について議論を交わすことは大変有意義なことですが、過度の議論は、自分が想像もしない大きな問題(デモ、暴動につながる)こともあります。国民感情を逆なでするような言動は慎むとともに、政治行動には不用意に参加しないでください。
    テロ、暴動、内乱、自然災害の危険性が出てきたり、巻き込まれてしまった場合には渡航先国の規制、大学・専門学校の指示に従うとともに、速やかに在外公館へ連絡を取ってください。大学のプログラムで渡航している場合には、大学への連絡も速やかに行ってください。

  • 在留届・帰国届の提出
    海外で3ヶ月以上滞在する場合、在外公館へ在留届を提出することが義務付けられています。インターネットでも提出することができます。
    滞在先が変更になった場合も変更届を提出する必要がありますので各自で手続きを行ってください。
    帰国の際には、帰国前に在留届を提出した公館へ帰国届を提出してください。
    在留届等について(外務省)

  • 帰国航空券のリコンファーム
    帰国日が近づいたら、利用航空会社オフィスへ電話して、帰国便のリコンファームを行なってください。航空会社によって、リコンファームの要・不要が異なりますので各航空会社ホームページなどで確認してください。

帰国後の自己管理

  • 逆カルチャーショック
    特に長期の留学を体験した方は、日本へ帰国後、日本の文化・生活に疑問を感じることがあります。これは、留学中の異文化適応によって渡航先の文化・習慣が当然のものとなってしまったため、留学中に自己の成長や変化があったため、留学中に友達や家族等との関係性が変化したために感じる等、様々な要因が考えられます。

    留学先の習慣・文化が優れたものに見え、日本の文化・習慣に否定的になったり、不満を抱くことも多くあります。これは、渡航先と日本の文化の良い面、悪い面を考えることができるようになったことの証でもあり、どちらかの文化を一方的に否定する必要はありません。

    渡航先の文化と日本の文化にはそれぞれの民族性、歴史的背景、特長があり、それらを徐々に受け止め、日本、留学先の双方の文化を受容できるようになることが大切です。

    こうした逆カルチャーショックが生活・勉学に支障をおよぼす場合には、家族や友人、留学経験者、大学のよろず相談室、インターナショナルルームなどへ相談してください。

  • 英語等語学能力の保持について
    海外へ旅行・留学したことで語学力が向上したり、語学力向上への意欲が増すことがあります。身に付けた語学力や向上心は、そのまま何もせずに日本で生活しているとどんどん落ちていきます。

    英語であれば、本学で実施している「毎日の英会話」(生涯学習センター)に参加する、学内で実施される国際学会を聴講する、TOEIC、TOEFL等の英語能力試験を一定期間ごとに受験するなど、各自で英語能力保持に努めることが肝心です。

    また英語以外の語学でも、一定期間ごとに語学能力試験を受けるなど、能力の保持に努めましょう。

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