樋上 賀一

ABOUT TUS

ヒガミ ヨシカズ

樋上 賀一教授

Higami Yoshikazu

東京理科大学 薬学部 生命創薬科学科

分子病理・代謝学(樋上)研究室

連絡先 〒278-8510  千葉県野田市山崎2641
TEL : 04-7124-1501 (代表)   内線:6535
ホームページURL http://www.tus.ac.jp/fac/kyouin/kyouin.php?ym/higami
出身大学
1986年  長崎大学  医学部  医学進学課程  卒業
出身大学院
1990年  長崎大学  医学研究科  博士課程 修了
取得学位
長崎大学  医学博士  課程
研究経歴 1986-1990:実験的脳腫瘍発生のメカニズムに関する研究に従事
1990-現在:ほ乳類における老化のメカニズムおよび老化制御、老年病制御に関する研究に従事
研究職歴 1990-1992 米国テキサス大学サンアントニオ校ヘルスサイエンスセンター生理学教室 ・アシスタントインストラクター
1993-1994 長崎大学医学部病理学第一講座 ・助手
1994-2000 長崎大学医学部病理学第一講座 ・講師
2000-2007 長崎大学医学部病理学第一講座 ・助教授
2001-2003 米国ウィスコンシン大学マディソン校内科学教室 visiting assistant scientist
2007- 東京理科大学薬学部 教授
性別
生年月
研究キーワード 老化、肥満症、健康寿命、脂肪細胞、乳がん
研究分野
環境生理学(含体力医学・栄養生理学) (寿命・老化の制御、肥満症治療薬・代謝改善薬の開発)
研究課題
1. 代謝改善、抗老化、寿命延長作用のあるカロリー制限の分子メカニズム、2. カロリー制限模倣体薬物の開発、3. 肥満症脂肪組織の解析、4. 脂肪細胞、脂肪組織におけるミトコンドリア機能、5. 脂肪細胞、脂肪組織におけるリソソーム機能
受賞
学会活動
2019年 4月 1日 ~ 2021年 3月 31日
日本基礎老化学会 学会理事等
2017年 4月 1日 ~ 2019年 3月 31日
日本基礎老化学会 学会理事等
2015年 4月 1日 ~ 2017年 3月 31日
日本基礎老化学会 学会理事等
2012年 4月 1日 ~ 2015年 3月 31日
日本基礎老化学会 学会理事等
2010年 4月 1日 ~ 2020年 3月 31日
日本病理学会 評議委員
2009年 4月 1日 ~ 2012年 3月 31日
日本基礎老化学会 学会理事等
1993年 4月 ~ 2009年 3月
日本基礎老化学会 評議員
1987年 4月 ~ 2010年 3月
日本病理学会 評議員
客員教授
専攻分野 分子病理学、代謝学
研究分野 老化生物学、肥満症
2050年、わが国では、2.5人に1人が、65歳以上のお年寄という超高齢社会になるといわれています。また、生活習慣病の発症に関連する肥満症の増加は、先進諸国において、大きな社会問題となっています。
白色脂肪組織(WAT)の質やミトコンドリア機能は、老化関連疾患や寿命制御に重要であることがわかってきています。私たちは、長寿を示すマウスや肥満症のマウスを用いて、特に脂肪組織や脂肪細胞の機能やミトコンドリア機能の解析から、老化に伴って発症するさまざまな疾患の発症を予防し、健康寿命の延伸をも可能にする肥満症治療薬や代謝改善薬を開発するためのシーズを探索しています。
世界で初めての新たな生命現象の発見にワクワクするために、また、世界のサイエンスにできるだけ大きな爪痕を残すために、研究室の学生とともに、日夜研究に励んでいます。
研究テーマ
  1. 遺伝子改変およびカロリー制限した長寿を示すマウスやラットの脂肪組織の解析

     寿命制御のメカニズムとして、成長ホルモン/インスリン様成長因子(GH/IGF-1)1シグナルや酸化ストレスの制御などが重要です。
     最近のサルを用いた研究から、適度な摂取カロリーの制限(CR)による抗老化・寿命延伸効果はヒトにおいても有効であろうと考えられます。CRはGH/IGF-1シグナルを抑制します。しかし、GH/IGF-1シグナルを抑制したマウスやラットにおいても、CRにより寿命が延伸します。そこで、CRのGH非依存的メカニズムを探索しました。その結果、脂肪組織において転写因子であるSrebp-1cに制御された糖から脂肪酸への合成の活性化が重要であることを見出しました(Chujo et al., Age, 2013)。
     さらに、Srebp-1c欠損マウスを用いて解析した結果、CRによる寿命延伸効果や脂肪組織限定的な脂肪酸合成の活性化、Pgc-1αを介したミトコンドリア機能の活性化、酸化ストレスの抑制はSrebp-1c依存性であることがわかりました(Fujii et al., Aging Cell, 2017)。
     今後は、脂肪組織選択的にSrebp-1cを活性化するメカニズム、また脂肪組織選択的にSrebp-1cにより制御される因子群を同定することで、脂肪組織の質の改善を介した健康寿命延伸法の開発に繋げたいと考えています。

  2. 肥満症脂肪組織におけるオートファジー・リソソーム機能障害

     大隅良典教授のノーベル医学・生理学賞受賞で有名となったオートファジーは、隔離膜により古くなった細胞内小器官や不要なタンパク質を取り囲み、リソソームと融合後、カテプシンなどリソソーム加水分解酵素により内容物を分解する細胞内の大規模な分解機構です。そのため、オートファジーの異常が、神経変性疾患など様々な疾患発症に関与します。
     肥満症脂肪組織では、オートファジーが適切に行えていない可能性を報告しました(Mikami et al., BBRC. 2012)。さらに、肥満症脂肪組織では、カテプシンL活性の低下とそれに伴うカテプシンB活性の増加が観察されました。このようなカテプシン活性異常が、オートファジーの障害、細胞老化様フェノタイプ、インフラマソームの活性化、さらに脂肪滴局在タンパク質であるペリリピン1減少にともなう脂質分解異常に関連することが明らかとなりました(Mizunoe et al., Autophagy, 2017)。
     それゆえ、肥満症脂肪組織で観察されるリソソーム機能やオートファジー機能障害を改善できれば、脂肪細胞機能を正常に保ち、生活習慣病発症の予防や治療に繋がると期待できます。

  3. 脂肪組織・脂肪細胞でのミトコンドリア機能

     近年、がん抑制遺伝子TP53が代謝制御に関わることが報告されています。そこで、肥満症脂肪組織で発現が増加するがん抑制遺伝子TP53が脂肪細胞のミトコンドリア機能に及ぼす影響について解析を行いました。その結果、脂肪細胞においてTP53タンパク質の活性化はPPARGC1A発現を低下させること、一方で脂肪細胞へ分化したTP53ノックダウン3T3L1脂肪細胞では、顕著にミトコンドリア量や活性が増加することを見出しました。すなわち、TP53タンパク質は脂肪細胞ではミトコンドリア生合成を負に制御する因子であることが明らかとなりました(Okita et al., Biochem Biophys Res Commun. 2014)。
     また、肥満症特異的にかつ脂肪組織選択的にTP53により発現が正に制御されているE3ユビキチンリガーゼとしてWWP1を見出だしました。WWP1の粗暴組織における機能は不明です。現在、WWP1欠損マウスを作製して、その機能、肥満症病態への影響を調べています。