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2012(08TUSJournalH24).01.01vol.184料理やお菓子づくりを通じて和気あいあいとした時間を“理系”の頭脳で食卓のきずなを深める10月30日(日)、神楽坂キャンパスは薄日さす気温20度、無風の天候に恵まれ10時前から続々と詰めかける参加者を迎え、3号館1階の受付を経て、9号館前のライブステージと学生模擬店へ、さらに3号館2階から3階の各種展示・実演・ミニ講演会へと終日人の流れが続きました。1号館17階での金美齢氏、森本健成氏、秋山仁氏の講演は満席でした。また、こうよう会本部行事として講演に先立ち学生懸賞論文表彰式が行われました。2号館211教室の第3回坊っちゃん科学賞発表会は全国からの高校生102人、高校教員23人と審査員・聴衆でいっぱいになり、212教室の数学・授業の達人大賞も多くの教育界の皆さまが参加しました。初参加の大学研究室紹介には理学部、工学部、理工学部、基礎工学部の23研究室が展示を行いました。8号館とPORTA神楽坂に同窓交流の場を10会場設定し、1,200人を超す同窓が出会いを楽しみました。8号館1階食堂の卒業50周年記念祝賀会(150人)、PORTA神楽坂6階理窓会倶楽部の卒業20・30・40周年懇親会(130人)、PORTA神楽坂6階会議室の平成卒懇親会(50人)、8号館3階の6つの教室で6団体の懇親会(150人)、8号館2階食堂の同窓出会いの広場(700人)でした。そのほか、落語会、キッズプログラム、お楽しみ抽選会など、さまざまなプログラムを同窓とその家族、こうよう会員、教職員の皆さまに楽しんでいただきました。理の“理”は理科の理……とことん理詰めの世界なんです」“センス”や“試行錯誤”といったイメージで語られることの多い料理の世界にあって、熊谷真由美さんは異色の存在と言えるかもしれない。小学生の時には家族のために魚をさばいて刺身を作り、学校では料理クラブの部長を務めるほどの料理好きだったという熊谷さん。料理と理科との結びつきは、当時から強く感じていたようだ。「料理をしていると、理科の実験と同じような発見があって楽しかった。例えば青菜をゆでるとき、なぜお湯に塩を入れるのかが知りたくて仕方がない。いろいろ調べて『塩によって水の沸点が上がり、葉のクロロフィルが安定化して色よくゆであがる』と知って『なるほど!』と納得するような子どもでした」大学では応用化学科へ進む。意外にも、当時の教授の教えが現在の仕事にも強く影響しているという。「『実験は1回で終えろ』が持論の先生でした。実験を行うときは、事前に文献調査を徹底的に行って仮説を立て、最も短時間で効率的に目的物が得られるよう、しっかり考えた上で実験に臨みなさいと。私は料理やお菓子を作るときに10種類以上のレシピを詳細に比較検討した上で“自分の分量”を決め、それから実際の料理に取りかかるんですが、学生時代に学んだ基本姿勢のおかげで、失敗したことはほぼないですね」卒業後は担当教授の薦めもあって、電子部品メーカーTDKの開発研究所に就職。半導体デバイスの構造解析を行う部署に5年間勤務した。この頃、アフター5に同僚と通い始めたクッキングスクールが、後の熊谷さんの人生を大きく変えることとなった。「当時、女性の総合職としては好条件の仕事だったし、研究内容にも不満はありませんでした。ただ、構造解析の作業は、一日中真っ暗な部屋で誰とも話をせず黙々と行う仕事なんです。その一方で、人の笑顔をつくり出す料理の世界が、とてもあたたかく輝いて見えた……悩み抜いた上、『好きな料理を仕事にしよう』と決心しました」現在は料理やお菓子の教室とレシピ本の執筆を中心に活躍する熊谷さん。身近な素材を華やかにヘルシーに調理する「おもてなしの料理&お菓子」が人気を集めている。テーマは“TEMPSCONVIVIAL”(タン・コンヴィヴィアル=和気あいあいとした時間)だ。「子どもの頃、私が料理を作ると、いつも父が褒めてくれました。『今日の盛り付けはおいしそうだね』とか。自分の料理で、大好きな人が喜んでくれることの喜びを皆さんにも伝えたい。人と人との心が通い合い、心のきずなが深まる時間……料理やお菓子作りを通じて、そんなひとときを演出するお手伝いができれば、と考えています」東京理科大学理学部第一部応用化学科卒業。パリの料理専門学校ル・コルドン・ブルーにて最高免状(グラン・ディプロム)取得。日本菓子専門学校卒。パリのリッツ・エスコフィエ料理学校、ルノートル製菓学校、アカデミー・デュ・ヴァン本科・チーズ・ワインアカデミーなどで研鑽を積む。「タイユヴァン・ロブション」での勤務経験を経て、92年、料理研究家として独立。企業のレシピ開発や、書籍執筆、テレビ出演など活動の場を広げている。多くの人でにぎわう9号館前に設置されたライブステージ熊谷さんが独自に開発した、プリントロールケーキの数々。繊細な色使いが特長だ。発行所東京都新宿区神楽坂1-3東京理科大学広報課?03-3260-4271https://www.tus.ac.jp/●新入生の皆さんへ学長メッセージ●平成24年度予算について●新任教員・職員紹介熊谷真由美(くまがい・まゆみ)次号予告4,100人が参加したホームカミングデー2011TUSフォーラム学内外の最新研究成果を紹介総合研究機構フォーラム2011を開催「ハリキリ」をご存じでしょうか?「エゾノリュウキンカ」はどうですか?長万部キャンパスに来てから、もう25年が経ちます。人の多いところがイヤで、わがまま言って長万部キャンパスに来ることになり、北海道の片田舎、自然に囲まれた生活は、十分満足するものでした。長万部に来て驚いたことは、大学周辺にミズバショウが咲いていたことでした。周りを探せば、ザゼンソウがあり、ミツガシワを見つけ、エゾサンショウウオやトゲウオがいるのです。10年ほど前から、自然に触れたり、物作りの経験が乏しい学生が少なからずいることに気付いていました。このようなことは、本来、子どものころに経験するものですが、現在、その経験のなさが、実験や研究に影響を与えているのではないかと考えています。林に分け入って見知らぬ草花を見つけ、感動し、模型飛行機を作るだけで、ナイフの使い方から飛行の調整法まで会得する。このようなことが、実験や研究のセンスと結びついているように思えます。といって、大学生に、まさか今から自然観察や模型飛行機の作成を教えるわけにもいかないのですが、今の学生の不器用さは放置しておけない気がします。文頭の「ハリキリ」は山菜のひとつで、タラの芽に苦みを加えた味がし、「エゾノリュウキンカ」は「ヤチブキ」とも呼ばれる珍味で最近大学の近くで見つけました。春が待ち遠しいです。(基礎工学部長万部教養教授藤井志郎)平成24年度東京理科大学各学部入学試験および大学入試センター試験の実施に伴い試験を支障なく実施するため、試験場となる神楽坂校舎、九段校舎、野田校舎および久喜校舎で、構内の立入制限が実施されますので、ご協力をお願いします。構内立入制限の場所・日時については、学内掲示およびホームページ等によりご案内します。入学試験期間中の構内立入制限について「料熊谷真由美さん(料理研究家)HitoHitoHito11月1日(火)、ホテルメトロポリタンエドモントで、化学100年・超伝導100年・東京理科大学130周年を記念し「TUSフォーラム2011―科学は技術を拓き、技術は科学を深める―」が開催されました。今回のフォーラムは、「東京理科大学ならでは」の研究成果の紹介と、「科学・技術」界リーダーによる講演に対する意見交換を通した産学官交流の場の提供を目的として開催され、当日は学外・学内から多数の方が参加しました。第一部では本学教員による講演、第二部では塚本桓世理事長および藤嶋昭学長の講演の後、「科学・技術」界リーダーの方々による講演が行われました。藤嶋学長は講演の中で、今後の課題として「教養教育の充実」、「教育・研究の国際化」、「科学の普及」等を挙げ、150周年に向けた抱負を語りました。今回のフォーラムでは、学内外の関係者が一同に参集し、意見交換を行ったことにより、今後更なる分野横断的連携研究の発展が期待されます。11月20日、21日の2日間にわたり、総合研究機構フォーラム2011「OnlyinTUSを目指して」が野田キャンパスで開催され、2日間あわせて約400人が出席しました。当フォーラムでは、各研究センター、研究部門、社会連携プロジェクト、共同利用・共同研究拠点、研究機器センターの代表者および研究推進室メンバーから、最新の研究成果をはじめ、昨年のフォーラムを通じて共同研究に発展した研究成果、東日本大震災調査結果などが報告されました。報告に対する活発な意見交換が行われるとともに、各組織内でのテーマの明確な絞り込み・位置づけとそれに基づいた組織間連携の可能性が追求されました。講評では、福山秀敏機構長から、当フォーラムの総括とともに、現在、わが国で進められている新・元素戦略への言及もありました。2日間にわたり、関係者が一堂に参集し、分野の異なる研究成果に接し、意見交換したことにより、今後の連携研究の発展が期待されるフォーラムとなりました。会長山田義幸