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02TUSJournal2011(H23).7.15vol.182みらい研究室開催サイエンスフェア課外活動事故防止策とワンダーフォーゲル部の解散について昨年8月、本学ワンダーフォーゲル部の夏期合宿中において、部員3人の尊い命が失われるという極めて残念な事故がありました。学生部はこの事故を重く受け止め、ワンダーフォーゲル部員とともに事故の全貌を調査し、「安全管理」「クラブ運営のあり方」「基本的なクラブの体制」について繰り返し話し合いを行いました。また、学生部は、自然を対象とするスポーツクラブ・サークルの課外活動の円滑な運営のあり方について議論を行い、今後、自然災害による課外活動事故を未然に防ぐために、次の方策を実施するとの結論に至りました。@自然災害による事故が起こりうるスポーツクラブ・サークルを学生部が選定し、これらの団体が課外活動を行う場合には、OBや当該スポーツに精通した者が随行するか、事前に指導を受けるよう周知徹底すること。A学生課に提出する所定の合宿届のほかに、計画書の提出を義務付け、各地区学生部長は計画について詳細なヒアリングを実施すること。また、各部員は計画書を保護者に提示し、事前に参加の承諾を得ることを前提とすること。BT部体育局、U部体育会顧問である体育科目担当教員の主催による、大学運動部活動のリスクマネジメント等をテーマとする講演会を実施し、全運動系クラブ・サークルの幹部部員の参加を義務付けること。一方、ワンダーフォーゲル部から学生部に、部を解散したいとの願い出があり、これを受けて学生部は、当分の間(部の解散日から起算して5年以上)、同様の活動を行う学生団体を承認しないこととし、平成23年3月10日付けをもってワンダーフォーゲル部は解散となりました。大学は、これからも危険を伴うスポーツに対して、安全管理の徹底指導に努めてまいります。月12日(木)、神楽坂キャンパスにおいて、「東日本大震災の津波と火災:現地調査報告会」が開催されました。当日は報道関係者を含め約200人が参加。講演の様子はインターネットの動画共有サービス『Ustream(ユーストリーム)』でライブ放送され、会場に入りきらなかった来場者が別教室で映像と音声によって視聴するほど、関心の高さがうかがわれました。報告会を主催したのは東京理科大学総合研究機構火災科学研究センター。そのメンバーの一人で、報告会の司会を務めた辻本誠教授(大学院国際火災科学研究科、工学部第二部建築学科)に話を聞きました。「私たちは、震災発生3日後の3月14日に『東日本大震災調査本部』を立ち上げ、調査・研究活動を開始。同月29、30日には、3人のスタッフとともに現地調査を行いました」その意義について、辻本教授は「今回の震災では、津波と原発事故による被害があまりに甚大だったために、火災による被害の状況があまり注目されていません。しかし今回の調査によって、火災の面から見ても、極めて大規模かつ広範囲の被害が起こっていて、その発生要因も多様であることがわかってきました。例えば小・中学校で、避難時に使った自動車のガソリンから出火し火災が起きるなど、特徴的な被害も出ています。また現地の消防隊員からは『火災発生の通報を受けても、大量の瓦礫に阻まれ、現場へ近づくことさえできなかった』という貴重な証言も得ることができました。さらに、停電復旧後の通電時に電化製品による火災が発生するなど、過去の教訓が生かされていないと考えられる例も見られています。こうした火災被害の調査・研究結果を社会に向けて発信し、情報提供することで、被災地の復興計画や今後の防災対策に反映させることは、非常に重要な意味を持っています」と語ります。同センターは、大学としては国内唯一の、火災科学研究に特化した研究機関。これまでも、国内外において火災工学分野の中核として貢献してきました。「今後発生が予想される首都直下地震や東海・東南海地震では、大規模な都市火災も危惧されます。その意味で、火災科学という研究分野が今ほどその役割を求められている時はありません。今回の現地調査報告会は、全国の消防官の方たちもUstreamを通じて注目してくれているようです。私たちは今後も、今回の大震災について継続的なリサーチを行い、その結果を広く一般の人に伝えていきたいと考えています」京理科大学の学生たちが、小・中・高校生や一般の方を対象に、科学や技術の楽しさを伝えるイベント「みらい研究室2011?科学へのトビラ?」が、6月11日(土)、12日(日)の両日、東京・お台場の日本科学未来館7階で開催され、2日間で2,333人の来場者を集めました。今年で6回目を迎えるこのイベントについて、みらい研究室実行委員長の山ア陽香さん(理学部第二部化学科3年)に聞きました。「『みらい研究室〜科学へのトビラ〜』は、2006年に、創立125周年記念イベントの一つとして誕生しました。翌年からは学生主催のイベントとして、毎年6月に日本科学未来館で開催しています」会場では、数学、化学、物理、生物、機械工学など、さまざまな分野の学生団体や研究室が趣向を凝らした展示や体験イベントを展開。中でも、ものづくりサークルCreateの「浮く!走る!ホバークラフトを作ってみよう!」や、理工学部化学研究会の「スライム作り、人工イクラ作り」などに、多くの参加者が詰めかけていました。山アさんは『みらい研究室』の意義について、「“理科大生でなければ伝えられない理科の魅力”を伝えること」と語ります。「興味を持った展示物を見つけて、夢中で駆け出していく子どもたちの姿を見ると、自分が幼かった頃にワクワク、ドキドキした記憶がよみがえってきます。きっと私たちも、そんな驚きや発見から、理科を愛する気持ちが生まれ、育んできたのだと思うんです。誰よりも理科が好きで、熱意を持って学んでいる理科大生だからこそ、伝えられることがあると思います」小学生の男の子2人を連れて参加したお母さんに話を聞くと、「学校では理科が苦手な子たちなのに、2人とも目を輝かせて楽しんでいるので驚いています。こんなふうに理科好きになってくれたらうれしい。来年もぜひ参加したいです」とのこと。来年は7回目を迎える『みらい研究室』。本学イベントの“6月の顔”として定着しつつあるようです。火災科学研究センターが「東日本大震災の津波と火災:現地調査報告会」を開催火災科学研究センターが5月に開催した東日本大震災の現地調査報告会の内容について、同センターの辻本誠教授に聞きました科学の楽しさを伝える「みらい研究室」が、お台場の日本科学未来館で開催されました辻本誠教授工学部第二部建築学科1974年東京大学工学部建築学科卒業。1978年東京大学工学系研究科建築学博士中退。ドライミストを利用した環境改善に関する研究のほか、総合研究機構火災科学研究センターで火災に関する研究に取り組む。東日本大震災による火災の発生状況3月21日までの火災総発生件数303件津波型火災(146件)従来型火災(157件)※消防庁対策本部発表東北地方太平洋沖地震報による気仙沼市の気仙沼湾西岸で、火災によって焼失した建物(撮影:東京理科大学関沢研究室)5東a.一部無線研究部による、ロボットの体験操縦コーナー。b.基礎工・材料・飯田研究室による、地球儀を浮かせる実験。c.レーシングカーの試乗体験ができる機械工学研究会のブース。d.熱電発電で電車を動かす実験コーナー(飯田研)。e.芳香剤を作る化学実験ができる二部化学研究部のコーナー。f.理一・物理・川村研究室による、サイエンスライブショーの様子。abedfcfun!