研究部門・研究センター等の紹介

脳学際研究部門

部門長  理工学部 応用生物学科 教授 古市 貞一 
研究内容 脳と神経情報・システムの研究開発基盤 
目的 脳研究の学際的な連携基盤を構築し、脳認知に関して①神経回路機能とその障害の解明、診断や改善のツール開発、②神経活動の計測とモデル化、脳型ICTの考案、③計測装置や機能アシスト装置の開発をめざします。 
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【研究ハイライト2016】

脳神経科学の背景

脳神経科学は、21世紀に飛躍的な発展が期待されている生命科学分野です。脳の健康を保持することにより高齢化社会における生活の質(QOL)の向上が見込めること、さらには脳で行われる情報処理の仕組みを応用することで革新的な情報通信技術(ICT)の創出が見込まれることから、社会・産業界からも熱い視線が送られている分野でもあります。

脳の健康、心の健康

わたしたちの心や行動を制御する脳は、ヒトが人らしい生活をするためにはなくてはならない組織です。しかし、人はライフステージで様々な脳の健康障害に直面します。脳の発達障害は自閉症スペクトラム障害の原因となり、統合失調症のリスクにもつながります。現代のストレス社会では、誰もがうつ病やストレス障害に陥るリスクに曝されています。そして、深刻化する高齢化はアルツハイマー病をはじめとする認知症の増加問題を抱えています。脳の健康、心の健康の障害は個人のQOLの損失に直結する国民健康上の大きな問題です。また、患者家族の負担と経済的損失にもつながる社会的にも重大問題です。

脳の情報処理

一方、脳は超並列で高速演算する高度なアナログコンピュータとして注目されています。小型でかつ超省エネ(消費電力量10~30W)でありながら、スーパーコンピュータ京(990万W)に匹敵する情報処理を実行することができます。脳からヒントを得たコンピューター(Brain-inspired computer)や脳と機械のインターフェース(Brain-machine interface, BMI)を活用した技術開発などが実際に進められています。しかしながら、脳の認知システムや計算アルゴリズムは完全には解明されていません。

脳学際研究部門がめざすもの

ヒトの心や行動を制御する複雑精緻な脳を解明しその成果を応用した創発的な開発につなげるには、マルチスケール、マルチモーダル、マルチディメンショナルな研究アプローチが必要です。更には、それらを統合するインフォマティクスが必須となります。このためには学際的な異分野の集中と連携が不可欠です。本学には、理学~工学~薬学~医科学に渡る幅広い研究分野で、多軸・多次元の研究が進められています。脳学際研究部門は、これら学内に分散する異分野(実験系、情報系、システム系、開発系など)の研究者が強く連携できる研究・開発基盤を構築します。この連携基盤での相乗効果を活かして、多分野融合型の創造性あふれる革新的な脳・神経情報・神経システムに関する研究成果を理科大から発信することを目的とします。

当面する目標の達成のため、次の3つの異分野融合型研究グループを設定します。

①  脳の健康と疾患グループ

認知に着目した脳の健康と疾患(悲観的認知の特徴があるうつ病、認知や記憶機能が低下する老人性認知症、社会的認知とコミュニケーションに障害がみられる自閉症など)について、分子、神経回路からモデル動物までの多次元研究を遂行し、関連メカニズムを解明し、改善薬や診断薬のシーズ創出をめざします。〔メンバー〕古市(理工)、岡(薬学)、中村(生命研)、瀬木-西田(基礎工)、西山(理工)、橋本(福島県医大)

②  脳の情報とシステムグループ

ヒトの視知覚に着目した脳内情報処理について、脳機能イメージング、認知心理実験、脳型アルゴリズムなどの多次元研究を遂行し、情報処理システムの解明とモデルや理論の構築をめざします。〔メンバー〕荒木(理一)、池口(工)、西山(理工)、浦川(理一)、中村(生命研)、木村(高知工大)

③  脳の計測と関連技術開発グループ

発達障害等における視線行動や生理指標に着目した性格特性について、脳機能障害の解析や評価の多次元研究を遂行し、関連する計測技術やアシスト装置の創出をめざします。〔メンバー〕竹村(理工)、市川(理工)、西山(理工)、相川(基礎工)、古市(理工)

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今後の展開

多分野融合による創発的な研究基盤で、脳の健康、脳の計測とモデル化、脳にヒントを得たデバイスの研究開発拠点の形成をめざします。

部門長からのメッセージ

正常な脳のはたらきは、心の豊かさや質の高い生活を送る上では欠かせません。ストレスの深刻化や長寿高齢化の現代社会、脳の健康を守ることが大切になっています。また、脳は様々な情報を超並列処理して、自ら学習して記憶・想起する生きた超省エネ装置でもあり、脳にヒントを得た技術やデバイスの創出が期待されます。

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