研究部門・研究センター等の紹介

アグリ・バイオ工学研究部門

部門長  基礎工学部 生物工学科 教授 島田 浩章 
研究内容 理工学の見地から穀物生産性向上に資する基盤的研究を実施する。 
目的 食糧の安定供給と持続的な農業生産を行うため、また、植物バイオマス生産性の向上を図るために、アグリ・バイオを理工学的に考察し、アグリイノベーションをもたらすシステム構築を行う。 
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【研究成果ハイライト2016】

とめどない人口増や温暖化などの地球レベルでの環境変化に対応するために、食糧の安定供給と持続的な農業生産を行うためのシステム構築が求められている。人口の減少と少子高齢化にともなうライフスタイルの変化が起こっている。食品に関しても消費者のさまざまなニーズに応じたきめ細やかな品物の提供が求められており、良食味・機能性食品などの開発が必要とされている。一方、農業生産の場では、以前から就農者の減少と超高齢化が著しい。農場は国土保全の役割をも担っており食糧の安定供給が可能な持続的な農業生産を行うためのシステム構築が必要である。このためにはスマート農業、第6次産業化などのアグリイノベーションを図ることが求められている。また、バイオマスエネルギーやバイオリファイナリーなどの用途に植物バイオマスの需要が高まりつつある。

この研究プロジェクトでは、これらの需要を満たすアグリイノベーションを図る。この目的で幅広い視点に基づくバイオマス生産性の向上を目指す様々な観点からの研究を実施したい。これにより持続的な穀物生産をもたらすアグロバイオシステムの構築を行う。このために、植物機能の向上を細胞レベル、個体レベル、集団レベルの観点で検証し、鍵となる技術を開発する。すなわち、遺伝情報(DNA)から生産環境に至る範囲を俯瞰し、光合成、ソース機能、転流、分配、シンク機能などに関わる鍵因子の同定、遺伝子機能制御、進化工学やゲノム編集などによる遺伝子機能の向上、センシング、物質移送の可視化、効率的な栽培方法の検討などに関する諸因子を解析し、その利活用を図りたいと考えている。

穀物の生産性に関わる要素をまとめると図のようになる。すなわち、緑葉などのソース器官(生産する組織)での光合成(炭酸同化)による炭水化物の生産、個体内での物質の移送(転流と分配)、シンク器官(貯蔵する組織)での物質代謝と貯蔵物質の生産と貯蔵である。これらがスムーズに行われることで、高い生産性が維持できると考えられる。図には右側に穀物生産性を規定すると考えられる重要なポイント(要素)を列挙した。これらの要素技術を高めることで高い穀物生産性が達成できると考えている。すなわち、これらの要素に関与する鍵となる遺伝因子が存在すると考えられ、これを突き止めることが穀物生産性向上の第一歩となる。

Figure_Agri-bio

この研究部門では、以上の観点から、穀物生産性向上にフォーカスした以下の3つの項目に関する基盤的研究を実施する。すなわち、植物機能の向上を細胞レベル、個体レベル、集団レベルの観点で検証し、鍵となる技術を開発する。DNAから生産環境に至る様々な場面における生産性に関わる諸因子の機能向上を図る。これによりsustainableで安定的な穀物生産性を目指し、ゲノム編集技術などのNew Plant Breeding Technology (NBT) の利活用、ゲノム情報を活用した品種改良や栽培システムの活性化・効率化に向けた基盤的知見を得ることを目的とする。

①細胞レベルでの植物機能の増進

穀物生産性をもたらす有用遺伝子を同定し、これを活用するための技術を開発する。そのためにDNA、RNA、蛋白質、ヌクレオチド等を標的とした研究を行う。また、モデル系を用いてその動態を詳細に解析する。

②個体レベルでの植物機能の増進

植物個体における物質の流通、遺伝情報の伝達、細胞間の相互作用などを明らかにする。また、植物の成長過程の可視化技術の開発および炭酸同化産物の移送に関するライブイメージング解析と生産性向上を与える鍵因子の解明を行う

③集団レベルでの植物機能の増進

栽培環境(光、風の流れなど)が植物の生育に与える影響についての解析を行う。基礎的なデータを得る。また、天敵を利用した生産技術の開発を試みる。

部門長より

東京理科大学にはこれまでアグリ・バイオ工学に関する研究はほとんど行われていませんでした。この研究部門は、荒れ野を耕し、新しい研究の種を蒔き、発芽させ、これを育てる場としたいと考えています。理工学分野の研究者が集うことで新たな発想と出会いによりアグリ・バイオの基盤的研究を育てていきたいと考えています。

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