研究部門・研究センター等の紹介

再生医療とDDSの融合研究部門

部門長  薬学部薬学科 教授 牧野 公子 
研究内容 再生医療を効率的に行うための薬物送達システムの開発 
目的 さまざまな原因による不可逆性の臓器の損傷を、生物学・医学的知見と工学的技術を組み合わせて治療するという新たな再生医療戦略の基盤を構築する 
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【研究成果ハイライト2016】

設立

「再生医療とDDSの融合研究部門」の母体は、2004年4月に文部科学省の私立大学学術研究高度化促進事業「ハイテクリサーチ・センター整備事業」に採択されたDDS研究センターです。その後、2010年4月に文部科学省私立大学戦略的研究基盤形成支援事業に採択され、「戦略的物理製剤学研究基盤センター」として5年間の活動を経て、本部門が発足いたしました。理学、工学、薬学の研究者だけでなく、学外の製薬企業や医学研究者にご参加頂き、活動しています。また、ブルガリア、カナダ、インドをはじめとする海外研究者との共同研究も推進しています。(特許申請中)

再生医療とDDSの融合研究部門プロジェクト

本部門は、さまざまな原因による不可逆性の臓器の損傷を、生物学・医学的知見と工学的技術を組み合わせて、再生医療による治療をより効果的に行う事が出来るようになるための、新たな戦略基盤を構築することを目的としています。再生医療は、自己組織中で細胞の増殖・分化を適格に誘導し、正常細胞や臓器を再生させる試みであり、その実現には生体組織工学(バイオマテリアル)と基礎医学および臨床医学などの領域の密接な協力体制が必要となります。一方、DDS(薬物送達システム)は薬物の患部への標的化(ターゲッティング)と薬物の放出速度の制御を主として行うシステムです。生体組織の再生誘導のためには細胞の増殖、分化に適した足場構造の構築が必要であり、生体組織工学の技術が不可欠です。また、細胞増殖因子などの生物作用の発現には、標的部位に増殖関連因子を送達して徐放化するDDSが必要であり、再生医療とDDSを融合する意義は大きいと考えます。

これまでDDS研究センターにて培ってきた、肺がん、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、脳腫瘍などの難治性疾患に対する薬物療法を有効にするための薬物送達法(DDS)に加え、虚血肢、慢性動脈閉塞症の低侵襲治療の開発とともに、結核治療を中心とした慢性難治性感染症のDDS研究も併せて行います。

研究テーマ

機能性高分子担体の開発

細胞増殖因子を包含しやすく、しかも体内安定性に優れた担体の開発のために、リン酸化PEGなどの新規ポリマーの分子設計と、これに基づく調製を行います。

ナノDDS

主として、細胞増殖因子含有ナノコンポジット粒子の経肺投与によってCOPDを克服するためのDDS、および経皮吸収によって全身性の薬物投与を行うDDSの開発を試みています。いずれも、PLGAおよび現在開発中のリン酸化PEGなどを担体として用いて種々の粒子径を持つ「ナノ粒子」(図1)を調製し、その体内動態および体内安定性を調べ、標的部位移行性の高い製剤の調製法を確立します。また、ナノ粒子の体内動態に及ぼす粒子径と表面物性の影響に関しては、金コロイドにて検討し、ナノ粒子の血液中での動きをシミュレーションします。また、効率的に脳梗塞を治療するための薬物含有DDS製剤を検討します。

また、ナノ粒子は血管内に投与された後、マクロファージ等の免疫細胞に捕獲される可能性があるため、効率的な投与を検討します。(図2)現在までに、がん組織の血管内皮細胞は正常血管内皮細胞と異なることが示されています。(図3)

疾患に伴う生体内分子の分布異常の探索

COPD等の肺疾患に見られる肺サーファクタントの異常が、血管再生阻害等の他の疾患でも観察されると予測されるため、粘膜上皮に発現する異常生理活性物質の探索を行います。

再生医療とDDSの融合研究部門の研究体制

研究推進のため、4つの研究グループを設けるとともに、アドバイザリー委員として学外有識者にも参画を依頼し、意見交換を行いながら研究方略を構築していきます。

  1. 臓器再生グループ
  2. 基剤開発グループ
  3. 製剤設計と物性評価グループ
  4. DDS製剤の生理活性評価グループ

シンポジウムの開催

これまでに13回のDDS研究センターシンポジウムを開催しており、毎回200名程度の参加者を得ています。2016年度も「第2回再生医療とDDSの融合研究部門発足シンポジウム」として森戸記念館にて開催予定です。

アジアDDS研究機構

アジアDDS研究機構を設立して、アジア各地の慢性難治性感染症克服のためのDDSを発展させようと努力しています。れまでに5回のインド-日本合同国際シンポジウムを開催しており、第4回シンポジウムにはインド大使館からもご出席をいただいた経緯もあります。2016年度は、インドのゴアにて開催の予定です。この活動はインド-日本の学術交流の一環となっており、アジア各地に根付き、大きく発展しつつあります。

今後の展開

血管新生誘導因子の制御放出を実現するためのDDSを開発する

部門長より

薬物の効果を最大限に発現させるためにDDSは不可欠です。慢性閉塞性肺疾患の治療や、より効率的な再生医療の発展を目的としたDDS、新しい基剤を開発中です。

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