研究部門・研究センター等の紹介

数理モデリングと数学解析研究部門

部門長  理学部第一部・数学科 教授 加藤 圭一 
研究内容 数学解析,数値解析,物理学,化学,生物学および工学を融合した研究 
目的 数学解析に関わっている純粋数学、応用数学、理学、工学の研究者を結集して、数学と理学・工学の境界領域の研究を行うことを目的としています。 
メンバー メンバーリストはこちらから

【研究成果ハイライト2016】

技術相談窓口

http://www.ma.kagu.tus.ac.jp/k-seminar/soudan.html

研究者のための数学相談所を開設しました。皆様の研究を進める上で数学研究者の助言や支援を必要とされる場合は、お気軽にご相談ください。
純粋数学から応用数学までご相談が可能です。

本研究部門は、2015年4月に設置された部門です。今年度以降の共同研究計画あるいは共同研究の芽をご紹介します。( )内は、研究の中心となるメンバーです。

・  波束変換によるシュレーディンガー方程式の解の表現とその応用: 波束変換を用いた新しいシュレーディンガー方程式の解の公式を用いて、与えられたポテンシャルに対するエネルギー順位とその固有状態を計算する新しい方法を確立すること。その方法による数値計算を用いて、物理学等に寄与すること。理学部第一部数学 加藤圭一)

・  時間依存密度汎関数法の数値解と応用:ナノスケール物質が光などの外場に晒されたときの電子、陽電子、原子核の非平衡ダイナミクスを、多成分時間依存密度汎関数(TDDFT)方程式を数値的に解くことによって明らかにする研究を進めている。最近は、強電場とフェムト秒レーザーを照射することによって物質の原子構造を探る実験と応用研究(LaAPT)の基礎理論を構築することを目的に、分子動力学(MD)法を組み合わせたTDDFT+MD法によるシミュレーションを行っている。今後は、TDDFT+MD法の高速化のためのプログラム開発も併せて進める。(理学部第一部物理 渡辺一之)

・  木構造と階層的現象に基づく確率モデルとその解析: 関数空間に付随した諸概念に論拠を置く確率論的手法により、多様性の伴う木構造におけるランダムな現象をカバーする方法論を開拓する。さらに,データが与えられた場合に分析的
な方法論が適用できるよう,分布論的な理論体系の試論も並行
して展開する予定である。(理学部第一部数学 金子宏)

・  一般化されたKeller-Segel系の解の有界性と漸近挙動:細胞性粘菌の集合体形成を微分方程式を用いて記述した生物モデルとして,Keller-Segel系があり、近年盛んに研究されている。Keller-Segel系の解が時間に関して一様に有界であるかどうかという問題は、数学と生物の双方の観点から重要な課題である。石田・横田は、Keller-Segel系を少し一般化したモデルに対して、これまで未解決だった解の有界性の問題についての解決方法を発見した。今後はさらに一般化したモデルに対して解の有界性の問題を解決していく予定である。(理学部第一部数学 横田智巳・石田祥子)

・  p(x)-growthをもつ汎関数に対する変分問題とその応用: p(x)-growthをもつ汎関数は、もともとサーミスタの数学モデルに関する問題において扱われたのが最初であり、また、一般に変動指数をもつ項を含む偏微分方程式はレオロジー等の分野にも現れている。p(x)-growthをもつ汎関数に対する変分問題の数学解析を継続しつつ,その新たな応用を模索する。(理工学部数学 立川篤)

・  閉じられた部屋での一音源多重反射問題のブラインド再構成法:部屋の形状が凸多角形としかわかっていない部屋を考える。部屋の中のどこかに一つの音源がありその音源が未知とする。さらにその音源から 発する音が壁に何回か反射しているものとする。この時に、いくつかの位置に置かれた観測信号(観測信号には未知の音源からの直接音や、部屋の壁からの反射音が混じっている)か ら、音源の位置を決定し、かつ音源の再構成を行う。さらに、部屋の形状も決定する手法についての数学的定式化を示す。さらに数値実験にお いて、手法の有効性を示す。(工学部第一部建築 佐々木文夫)

・  破壊現象を念頭に置いた、非線形弾性体の数学解析:現在まで線形弾性体を仮定した脆性破壊は線形破壊力学として体系化され、シミュレーション・ソフトウェアも開発されてきたが、そこには工学的仮説が多く、基礎となる数理モデルの構築は困難を極め、一般の破壊現象への適用には限界がある。多様な破壊現象を扱う際には、線形弾性体よりも広い枠組みで捉えられ、物理的にも意義のある非線形弾性体モデルの解析が必要不可欠である。そこで、本研究では破壊現象に則した非線形弾性体モデルの数学解析をおこなう。(理学第二部数学 伊藤弘道)

・  非破壊検査に関わる逆問題の数理解析: 非破壊検査とは、構造物部品の内部の欠陥や微少な表面の欠陥を検査物を破壊せずに検査する技術である。この技術は材料の分野だけでなく、医療(CTやMRIなど)、地球科学(地球の内部構造の決定)など広汎にわたる応用がある。この問題は数学的には境界値逆問題として定式化され、これまで、線形(粘)弾性体におけるき裂や多角形空洞の再構成の逆問題や導電体における溶接部分の再構成について考察してきた。今後は、様々な(粘)弾性体の非破壊検査に関わるき裂の逆問題や材料定数の評価の逆問題を研究する。(理学部第二部 伊藤弘道)

・  非線形偏微分方程式の解の特異性と長時間挙動:気体の運動を記述する一般化されたバロトロピックモデルにおいて、有限時間で真空状態が発生するための十分条件を与えることを目標としている。特に、気体にかかる圧力が大きければ、真空状態が起こり得ることを示す。この研究と並行して、新潟大学の山本征法氏とともに、半導体中の電子の動きを記述する移流拡散方程式の可解性と漸近挙動の研究を進める。 (理学部第一部数学 杉山裕介)

今後の展開

2015年に設立した研究部門です。今年度は、部門内の研究者の総合交流を活発化することにより、共同研究を進めていきます。また,学内へ向けて数学に関する相談も受け付けています.

部門長からのコメント

本研究部門は、2015年に設置された研究部門です。数学解析の研究者および数値解析の研究者が、それぞれの学問領域に閉じこもることなく、それぞれの研究成果を物理学,工学等の研究者と共有し、発展させることを目指しています。我々の研究部門でお手伝いできることがあれば,ご協力します。

▲ページトップへ