リカ的料理の楽しみ方 食材に調味料を混ぜるとき、煮る、焼く、蒸すといった調理をするとき、何気ない料理の工程に、実は科学現象がたくさん詰まっています。”リカ的現象”に焦点をあてて、料理を作ってみよう!

熊谷真由美(くまがい・まゆみ)●料理研究家
東京理科大学理学部第一部応用化学科卒業。電機メーカーの開発研究員として5年勤務。パリの料理専門学校ル・コルドン・ブルーにてグラン・ディプロムコース卒業。同校フランス菓子・料理の最高免状(グラン・ディプロム)取得など、数々の経験を積み、料理研究家として活躍中。
作り方
STEP01
ボウルに卵黄、粒マスタード、塩、こしょうを入れる。
科学現象
卵黄に含まれるレシチンという脂質とマスタードが界面活性剤(図1)になり、また塩は乳化を促してくれる。
STEP02
泡立て器でよく混ぜる。
科学現象
ホイップすることで分散させると水と仲のよい親水基を外側に、油と仲のよい親油基を内側にした球状の「ミセル」(図2)を形成する。
STEP03
オイルを糸のように垂らしながら、手を止めずに撹拌する。
科学現象
撹拌することにより油滴サイズを小さくし、ミセルの内側にある親油基に油を取り込みやすくします。手早くかき混ぜないと油がミセル内に入らず、分離してサラサラになり二層化してとろみがつきません。
STEP04
塩、こしょう、レモン汁(または酢)、マスタードで味をととのえ、さらにしっかりと混ぜて乳化を安定させる。
科学現象
ミセル状のコロイドが増えると動きにくくなり、とろみがつく。コロイドとは水分や油分の中に何かが分散して、溶けたように見える状態で、砂糖水のような溶液とは異なる。
低温だと界面活性剤が働きにくく乳化しないので、すべて常温のものを使います。
油と酢を使うドレッシングが分離しているように、本来、水と油は混ざらないもの。しかし、油と酢に卵黄を加えたマヨネーズはクリーミーで油と酢は分離していません。これは、卵黄の中に水とも油とも仲良くできる 「界面活性剤」 (図1)が間を取り持っているからです。この水(酢)の中に油が分散した状態を 「乳化」 (図3)といいます。
【 材料 】
卵黄 … 1個
粒マスタード … 大さじ1
酢 … 大さじ1
サラダ油 … 150ml
レモン汁 … 適宜
塩、こしょう … 少々