リカ的料理の楽しみ方 食材に調味料を混ぜるとき、煮る、焼く、蒸すといった調理をするとき、何気ない料理の工程に、実は科学現象がたくさん詰まっています。”リカ的現象”に焦点をあてて、料理を作ってみよう!

熊谷真由美(くまがい・まゆみ)●料理研究家
東京理科大学理学部第一部応用化学科卒業。電機メーカーの開発研究員として5年勤務。パリの料理専門学校ル・コルドン・ブルーにてグラン・ディプロムコース卒業。同校フランス菓子・料理の最高免状(グラン・ディプロム)取得など、数々の経験を積み、料理研究家として活躍中。
作り方
STEP01
いちごは洗ってへたを取る。ホーローかステンレス鍋にいちご、グラニュー糖を入れて、水分が出るまで1時間から一晩おく。
科学現象
砂糖の浸透作用により、いちごの細胞内のペクチン分子が水分とともに外に出る。砂糖の酸化防止作用により、いちごの変色を防ぐ。アルミや鉄を使うと果物の酸で腐食するので、酸に強いホーローやステンレス鍋を使う。
STEP02
鍋を強火にかけ、沸騰し砂糖が溶けたらいちごの果肉を別の皿にとる。果汁を強火で煮つめ、鍋肌を混ぜながら、アクをとる。取り出した果肉は半分つぶす。
科学現象
溶液に砂糖が入っているので、沸点上昇が起こり、温度が108℃まで上がる。沸騰させると、いちごのペクチンがよく溶けてゲル化しやすくなる。
STEP03
氷水に一滴入れて滴の形に残ったら、いちごの果肉を戻して強火で108℃まで煮る。
科学現象
いちごより糖分濃度の高い溶液で加熱すると、外の濃度を下げようとして、いちごの細胞内からペクチンを含む水分が出る。いちごは浸透作用で脱水され、煮くずれしにくくなる。
STEP04
再度、氷水に一滴入れて滴の形に残ったら、レモン汁を入れてひと煮立ちさせる。熱いうちに清潔な瓶につめる。
科学現象
・レモン汁(酸)を加えることで、ペクチンのゲル化を促す。また、酸が酵素の働きを抑えるので、色が鮮やかになる。
・食べ物は空気に触れると酸化して腐敗するため、空気が入らないように瓶ぎりぎりまでつめるとよい。
ジャムは、果物の細胞の中にある[ペクチン]が糖や酸と一緒に加熱されることで 「ゲル化」する性質を利用して作ります。果物にはペクチンが多いものと少ないものがあり、少ないととろみがつきにくく(= ゲル化 しにくく)なります。
●ペクチンが多い果物:りんご、プラム、かんきつ類(みかん、グレープフルーツなど)
●ペクチンが少ない果物:梨、柿、バナナ、パイナップル、ブルーベリー、桃
また、同じ果物でも熟し加減でペクチンの含有量は変化します。未熟のときは[プロトペクチン]、過熟のときは[ペクチン酸]、適熟のとき(食べ頃)にゲル化作用のある[ペクチン]となり、果物が柔らかくなります。"旬"で"食べ頃"の果物を使うのがおいしいジャム作りのコツです。
【 材料(作りやすい分量) 】
いちご … 300g
グラニュー糖 … 150g
(果物の分量の50%)保存が利く糖度
レモン汁 … 1/4個