※内容は「東京理科大学報」 vol.196 掲載時のものです。

連日、研究室に泊まり込んで課題に取り組んだ大学院時代
あの経験が、現在のキャリア形成に役立っています。

国際金融の第一線で活躍するプロフェッショナル
ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント株式会社 金融法人部 ヴァイス・プレジデント
2003年大学院経営学研究科修了

片寄 裕市さん

ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント株式会社 金融法人部 ヴァイス・プレジデント
2003年大学院経営学研究科修了
2003年、東京理科大学大学院経営学研究科修了後、第一生命保険相互会社(現第一生命保険株式会社)に新卒入社、株式部投資調査室に配属。第一ライフ・インターナショナルU.S.A.出向、帰国後ストラクチャー投資部、株式部オルタナティブ・グループ等を経て2012年、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント株式会社に入社。

「高校時代は漠然と、工学部の経営工学科か、
理系色の強い経営学部に進みたいと考えていました。

そんな時、東京理科大学の経営学部が理系と文系を融合した“科学としての経営学”というポリシーを掲げているのを知り受験しました」と語る片寄さん。入学当時、経営学部は創設されて5 年目。若い学部ならではの熱気があふれていたという。「学生だけでなく教授陣も、『この学部の歴史を自分たちが築くんだ』という志を持った人たちが多かったですね。就職実績や研究内容において『自分たちが後輩たちのお手本にならなければ』という強い意識を持っていたと思います」
 学部卒業後は大学院経営学研究科に進み、山田文道教授の指導を受ける。
「山田先生は、富士通グループのシンクタンク(現株式会社富士通総研)の社長だった方で、とても厳しい先生でした。企業人とはいかにあるべきか、といった基本姿勢から、プレゼンテーションや分析のスキルといった実践的な部分まで、徹底的に叩き込んでいただきました」 その指導の成果は、さっそく就職試験で発揮された。
「大手金融機関の資産運用部門を中心に受験し、複数社から内定を頂戴した際、面接を担当した役員から『過去数年の受験者の中で、面接時に自ら作成した企業分析レポートを携えて、企業価値の向上シナリオについてプレゼンテーションをし始めたのは君だけだった』と言われました。その分析内容も的確だったと評価していただきましたが、これは山田先生に鍛えていただいたおかげだと感謝しています」

右:学生時代の片寄さん(秩父への登山)

 その後、片寄さんは会社の海外留学制度を利用して米国ニューヨークへ留学。現地の運用会社で働くことになる。「日本人が一人もいない環境だったので苦労することもありましたが、外国人とビジネスを行う上でのコミュニケーションや、外国人に対してのプレゼンスキルを磨くには貴重な体験でした。山田先生からも、事あるごとに“若いうちに必ず留学しろ”と強く勧められていたのですが、その意味が実感できました」 
 帰国後も一貫して資産運用業務でキャリアを積み重ね、現在の職場へ転職し、国際金融の第一線で活躍する片寄さん。自身の経験から、東京理科大学で学んだ意義についてこう語る。
「第一に、大学が揺るがぬ教育方針を持っていること(実力主義を標榜しており、厳しく勉強させてくれる大学であること)。第二に、教育システムがしっかり整備されていること(大学院の研究レベルが高いだけでなく、しっかりとした実践力が身に付く)。そして第三に、一生涯付き合えるコミュニティがあること(研究室における教員、学生の関係が緊密かつ良好)。この3 つを兼ね備えている点が理科大の特色だと思います。社会に出てキャリアを積む中で、特に統計学や数理的な知識などにおいては、実社会で通用する高いレベルのスキルを身に付けさせてもらえたと実感しています」