総合研究院
光触媒国際研究センター

総合研究院光触媒国際研究センター長 インタビュー

光触媒が未来を作る。
21世紀は環境の世紀といわれ、様々な環境問題への取り組みが、より重要性を増して行きます。そうした中、光触媒が改めて世界から注目されています。光触媒の大きな特徴は、主なエネルギー源として太陽光や雨を利用することで、環境に負荷をかけないという点にあります。
その特徴を最大限に活用するために、東京理科大学では、藤嶋昭学長をセンター長として、『光触媒国際研究センター』を2013年4月に開設しました。このセンターが光触媒のメッカとなることによって、日本国内だけでなく、世界中に光触媒技術を発展普及させていくことを目指しています。
産学官が連携して、ワンストップで光触媒に関する様々な研究に取り組むことができる当センターでは、すでに製品化構想を持った企業はもちろん、これから製品開発を始めたいという企業に対しても、フレキシブルに対応できる体制を備えています。
光触媒の持つ大きな可能性を具現化し、豊かな未来を作り上げるために、東京理科大学の新しい取り組みが、今始動します。
光触媒の応用の幅を広げる開発・実証実験を。
――東京理科大学が野田キャンパスに始動させる「光触媒国際研究センター」の設立経緯と、その役割についてお聞かせください。
光触媒国際研究センターは、平成22年度に経済産業省が実施した「イノベーション拠点立地支援事業(「技術の橋渡し拠点」整備事業)」の採択を受けて設立に至りました。
この「技術の橋渡し拠点」整備事業というのは、大学等のもつ優れた技術を、実用化まで確実に橋渡しすることを目的として、産学官の連携でイノベーションを促進するための支援事業です。
もともと、光触媒の研究開発を促進するためのセンター構想は、それ以前から持っていましたが、こうした事業の公募があることを知り、大学関係者と協議の上で応募に踏み切りました。そして、本学の申請が採択され、平成25年4月に始動しました。
――具体的にはどのような研究を展開していくのでしょうか?
大きくは、光触媒をより多くの方々に活用していただけるように、応用分野を広げるための開発、実証実験を行っていきます。
具体的にはセンター内に3つのグループを設置して、それぞれが光触媒をベースとした様々な研究開発を推進します。1つ目が、光触媒の主要な応用の一つであるセルフクリーニングをテーマとした「セルフクリーニンググループ」で、本学基礎工学部材料工学科教授の安盛敦雄がリーダーを務めます。2つ目は、自ら水素エネルギーを生成することをメインとした「人工光合成グループ」で、本学理学部第一部応用化学科教授の工藤昭彦がリーダーを務めます。そして3つ目が、抗菌・殺菌や抗がん・制がんなどをテーマとした「環境浄化グループ」で、本学理工学部応用生物科学科教授の池北雅彦がリーダーを務めます。
光触媒には、多様な応用分野があります。現在でも様々な製品として実用化されていますが、まだまだ大きな可能性を秘めており、さらなる改良等によって、新しい活用分野に広げていくことが可能です。この3つのグループが、相互に連携を取りながら、研究開発を行っていくことで、世界規模での光触媒の普及・発展を加速していきたいと考えています。
光触媒のメッカとして、世界中に情報を発信していきます。
――企業や研究者との連携については、どのようにお考えですか?
すでに申し上げたように、光触媒は実に多様な分野での活用が可能です。ビルを常にきれいにしておくとか、ガラスが曇らない、汚れないといったことから始まって、空気や水を浄化するといったことも可能となります。水の浄化については、非常に大きなテーマだと考えています。また、ウイルスやがん治療を含めて医学的な応用もできます。
このように光触媒には非常に大きな可能性がありますので、企業や海外の研究者などにもどんどん参画していただきたいと思っています。光触媒に関しての企業との共同研究ということについては、これまでの実績もありますので、光触媒を使って新しい製品等を開発したいと考える企業とは、ぜひコラボレーションしていきたいと思っています。
また、学外の研究者についても、海外の研究者も含めて、より多くの方々に参画していただきたいと思っています。たとえば、「環境浄化グループ」の研究テーマのひとつである植物工場などにおいては、光触媒の水処理技術を使って、より有用な漢方薬を作るための薬草の栽培等にも取り組む予定です。そうすると、国内だけで取り組んでいても限界がありますから、漢方薬の本場である中国をはじめとして、東南アジア諸国との共同研究ということも視野に入れる必要があります。すでに海外からの共同研究のオファーも来ています。
――より早期に実用化したいと考える応用分野はありますか?
様々なものがありますが、一例をあげれば、自動車のボディやガラスなどに光触媒をコーティングすることで、汚れないボディや曇らないガラスを普及させたいと思います。自動車で使うガラスは軽量化を目的として、これからはポリカーボネートが注目されていきます。そこに光触媒をコーティングすることができれば、軽くて硬くて、なおかつ傷つかない、曇らないという自動車の窓ガラスになります。技術的には難しい部分もあるのですが、ぜひ実用化したいと思っています。
――光触媒の標準化ということについては、どのような取り組みをお考えですか?
すでにJIS(日本工業規格)については10項目以上を作っています。水処理、セルフクリーニング、殺菌効果等です。次のステップとしてISO(国際標準化機構)に提案して国際規格にすることを目指しました。実は日本がISOをリードするという例がほとんどないために、非常に苦労しましたが、これについても、すでに10項目以上がほぼ確定しています。
今後は可視光化です。可視光のJISはほぼできてきたので、ISOとして確定させていくことが課題です。すでに提案の段階にありますが、これが確定すれば、ますます世界中に光触媒が普及していくことになります。光触媒については、日本が世界をリードしていますし、その日本の中でも、この「光触媒国際研究センター」がメッカとなって、ここから世界中に情報発信し、光触媒の普及・発展をリードしていこうと考えています。

※このページはRIDAI SCITEC NEWS vol.18から抜粋したものです。詳しくはこちら

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