資料館スタッフブログ

ラストパネル

僕が関わる企画展はこれが最後です。というのも、この資料館のスタッフの任期は2年というきまりがあるからです。

今回の企画展では様々な方が作品を持ち寄ってくださりました。僕はそれに対して解説パネルを作るという業務を、同じ時期にここへ来た相方(F.T.)とやりました。作品それぞれから見出される数学的な美は違うため、作品ごとにその原理の勉強をしながら解説文を考えるのはかなり頭を使う作業でした。要素が多く分かり難い作品に対しては、多くのネットサイトや専門書を参考にしたのですが、やはりその作品を作った人から聞くことが一番理解しやすかったです。

博物館には様々な展示物がありますが、全部の展示物をその作者がそれを前に解説してくれるわけではありません。本当はそれが理想ですが、その限界を克服するために博物館や科学館というものがあるのだと思います。では解説員は全ての展示物に対して作者と同等の理解をしている必要があるのかというと、そうでもないと思います。「一般の人の理解」はどこなのか、「この科学の要点」はどこなのか、理解の理解と要の理解の両方が不可欠だと思います。特に来館された方にその場で接して説明をするときは、会った瞬間から相手の視点と姿勢を見極めながら相手に合わせ少しでも展示物の魅力を理解してもらえるようにする必要があります。・・・解説に完璧は無いと感じています。

そのようなことを堂々巡りで考えつつ、パネルを作りました。企画展が始まって八日目ですが、自分が作り上げた30枚以上の解説パネルにはすでに改善できそうなところがいくつも見つかっています。

でもこの企画展は大好きです。数理の本当な魅力をリアルにしようと悩みぬいた物がたくさん展示されています。集まった作品は博物館の根本原理に立ち返ってここに収められているように感じます。・・・最後を意識すると語ることが尽きないですね。ここを去るまでにはまだ時間があります。このような経験をさせて頂いたことに感謝しながら、最後まで悩みながら、良いスタッフを目指していきたいと思います。

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製作したパネルたち
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企画展前夜